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黒い満月

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そして、今度は一転、
「ヨシキ、ありがとう … やっぱり私の目に狂いはなかったわ、
ヨシキは、きっと出世街道を先頭切って突っ走る … 我が社の期待の星だわ」

金環蝕と期待の星との間に、どういう相関関係があるのかよくわかりませんが、
とにかくミッキッコがえらく褒めてくれました。

そして、その後しんみりと。
「今、私達がいる現実の世界の中で、この夢をもっと素晴らしい実体あるものに変えて頂戴ね … 男の中の男のヨシキなら、きっと出来るわ」

これでまたまた乗せられましてね、舞い上がってしまいました。
そして、品なく「へへへへ」と笑ってたら、
ミッキッコはその隙をついて、

「乾杯!」と声を上げ、
自分のグラスを私のグラスにカチンとね、合わせてしまったのですよ。  

これで金環蝕の夢の売買、大枚3万円で成立してしまいました。

こんなミッキッコとの夢の売買。
それがあったのが、1年前でした。
そう、それは昨年の2011年の5月21日。
休日出勤をした土曜日の夜のことでした。

新企画のための奇抜なアイデアはないかと知恵を絞っていた頃なのですが、
その後、ミッキッコとのこの会話を切っ掛けとして、仕事の方、結構私頑張りましたよ。

その甲斐あってか、
今やっと新しいネット内企画を立ち上げるところまで漕ぎ着けました。


作品名:黒い満月 作家名:鮎風 遊