黒い満月
こんな浮世離れした会話。
それが私とミッキッコの間で、それからも飽きることもなく続いて行くのです。
そして今度は、ミッキッコが私のグラスになみなみとビールを注いでくれて、
しみじみと話すのですよね。
「だけどヨシキ、不思議なのよね、
その頃、あなたがなぜか私のアパートにいてね … 一緒に暮らしているのよ、
いわゆる私達は、同棲してしまっているのよ」
私は、ミッキッコの口から放たれた『同棲』と言う言葉を聞き、嬉しくなって来ました。
だってフランス語で言えば、〈コアビタシオン〉ですよ。
これって超カッコ良くって、男の憧れですよね。
私はニンマリとしまして、「ふーん、そうなんだ」と深く頷きました。
そしてその後、性懲りもなく不覚に言い放ってしまうのです。
「2年後の2013年の5月21日には、ミッキッコと遂に同棲をしているのか、
と言うことは … 二人で愛欲狂乱の日々を送ってるわけだ、
いいんじゃない、
我が情欲テンコ盛りのコアビタシオンに … チェアース!」
こんな男の歓喜を不快に受け取ったのか、
ミッキッコは強い口調ではっきりと切り返して来ました。
「でもね、ヨシキ … 私、嫌なの」