実験
「食べ易いようにカットしましょうか?」
中年女性の従業員はにこやかだった。
「いいえ。ミディアムでライスのドリンクバーセットをお願いします。ステーキ醤油で」
「わさびはお付けしますか?」
「有料ですか?」
「無料です」
「じゃあ、お願いします」
店の中は六割程度のテーブルに客がいた。
「祭日なのに、意外に空いてるね」
「遠出したひとが多いのかも」
「そうか。紅葉には早いけどね」
「飲み物は?」
「ウーロン茶がいいかな」
「持ってくるわ」
「悪いね。食後はぼくが行ってくるね」
「いいわよ。食後もわたしが係りよ」
氷とウーロン茶のグラスを、ショートパンツの美結さんは笑顔で持ってきてくれた。