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せき あゆみ
せき あゆみ
novelistID. 105
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ことばの雨が降ってくる

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*辛辣な批評家*



自分の書いたものを読んでもらえるのは、ありがたいし、うれしいことですね。
的確に批評もしてくれるともっとうれしいものですが。

ワタクシたち一家でおつきあいをしていた方の奥様は、一旦はプロの作家になったものの、頭を悩ませる仕事より、お勤めした方がいいといって作家をやめた方です。

いつのころか、ワタクシの作品を読んで、批評してくれるようになりましてね。
それがまた辛辣なんですよ。

つまらない。
表現がいまいち。
読む気が起きない。
意味がわからない。

と、まあ、言いたい放題。
ある日とうとう、
「もう、書く気が起きなくなったんじゃない?」
と言われました。ですが、ワタクシ、
「いいえ。いつかきっとおもしろいって言わせてみせます」
って言い返しました。

ところが、その方はガンを患い、1年間の闘病ののち亡くなってしまったのです。
もう、ワタクシの作品を二度と見てくれることはありません。辛らつな批評も。

空の上から、「残念でした」とあかんべーされているような気がします。
でも、時々ワタクシ、空に向かっていうのです。
「いつかきっと、おもしろいっていわせてみせますよ」
って。

その方が唯一「ちょっと、おもしろい」と言ってくれた作品が“へた・マーク”です。