ことばの雨が降ってくる
*大人にはノスタルジア、子どもにはデジャ・ヴを*
前項で物語を書くのは自分のためと書きましたが、それは独りよがりでいいということではありません。
いうまでもないことですが、念のため。
ワタクシたちは物語を書くとき、読み手に対して、
感動させたい
泣かせたい
笑わせたい
考えさせたい
など、いろいろ考えて工夫しますよね。
せっかく人に読んでもらうのですから、わかりにくい独りよがりな物語ではもったいないです。
人からわかってもらえなくてもいいというなら、密かに日記でも書いていればいいのです。
ところで、ワタクシは童話を書いているものの、幼年向けのものはほとんどありません。
なんたって、子どもの頃、大人にタバコを買いに行けといわれて、子どもがすっちゃいけないものをなんで子どもに買いに行かせるんだとかみつくような子どもだったものですから……。
あんまり、子どもらしくなかったですね。
そのせいか、ちょっと大きくなった子ども向けです。それから大人。
これはスランプから抜け出したとき、自分の書くもののスタンスを決めたからです。
大人にはノスタルジア、子どもにはデジャ・ヴを
“しらない子”を読んだ大学生の方が、自分も作品の中に入って体験したような気持ちになった、という感想をくれたときは本当にうれしく思いました。
デジャ・ヴを感じてくれたんですね。
作品名:ことばの雨が降ってくる 作家名:せき あゆみ