キミと一緒!
「朱莉くーん!朱莉くーん!」
「ん・・・」
朝の7時。俺は亜佐美(あさみ)さんの高い声で起こされた
「・・・・・うっ・・・・」
「ほら、早く起きなさい?」
「す、すいません・・・・」
俺、日野朱莉は母親的存在、雅(みやび)亜佐美(あさみ)さんに小さい頃から2人で一緒に生活している
「朱莉君・・・」
「はい?」
「私のこと・・お母さんとか、母さんとか・・どうしても言ってくれないの?」
ウルウルと瞳を潤ませている。
始まった、亜佐美さんのおねだりが・・・
それは、俺が普通に話せるようになった6歳のことだった
『初めまして朱莉君。私は亜佐美よ。お母さんって言って』・・・「あさみ、さんだね」
『え・・・、えっと・・・朱莉君・・・?私のことお母さんって言っていいのよ?』
「ううん、あさみさんっていう」
「えっ!?あ、ええっ!?」
・
・
・
・
うん、そうだ、そんな記憶があるんだけど・・・・そうだよな・・・・俺、亜佐美さんのこと「母さん」って言ってないんだ。
・・・・・1回は言ったほうがいいのかな?けど・・・・亜佐美さんは俺の母親ではない。俺もホントは母さんって言いたい。けど・・・言ったら俺は「亜佐美さん」じゃなくて「母さん」を見てしまう・・・求めてしまう・・だから、俺は言わない・・・・
「朱莉君・・・?どうしたの・・?ご飯冷めちゃうわよ?」
「あ、・・・っはい。頂きます」
「はい。召し上がれ」
この事についてはあまり深く考えない方がいいだろう。そう思った。