キミと一緒!
「俺、春樹兄なら、食べられてもいいから」
「っ!?あ、あか・・・・り!?」
「見つけた・・・やっと・・・・」
朱莉は「入るよ」と言い、遊具の中に入ってきた。朱莉の服は全身雨でびっしょりと濡れていた。
狭い空間で朱莉が走っていたのか、軽い息切れの音が聞こえた。
「・・・・・あ、のよ・・・・さっきの言った言葉って・・・」
「え?そのまんまだよ」
キョトンとした顔で答える朱莉に、春樹は少しガクっとした。
(そーいや、コイツ天然だっけ・・・・)
「俺は・・・・小せぇ頃からこの体質を馬鹿にされてきた。中学校のときもそうだった。高校も・・・今、バイトし始めてやっと、馬鹿にされなくなった。けど、けど・・・お前はどうして・・・」
「俺・・・・今、思ったんだ。春樹兄の事が好きだ・・・って」
「!!!?????」
朱莉の口から予想もしない言葉が出された。
「気づいたときは探している時だった。けど、何でだろう。走ってても走ってても、春樹兄の事しか考えてなかった・・・!」
「!」
赤くなって言う朱莉。けど、体は震えていて今、普通に体を押したら直ぐに倒れるくらいだろう。
「・・・っ・・・・・俺は・・・・!俺は化け物で・・・」
「化け物じゃないよ」
朱莉は春樹を優しく抱きしめた。
「化け物なんかじゃない。日野春樹・・・俺の大切な兄さんだよ」
「っ・・・・ふっ・・・・な、んでぇ・・・?」
「えっ?」
「何で、なんで僕のこと好きになってくれるのぉ・・!?僕、いつも悪い言葉使ってるのに・・!!」
―いつもと違う喋り方。
―涙をポロポロと流して嗚咽混じりの声で
―なのに
―なのになんで嫌な気持ちにならないんだろう
「ひっく・・・っく・・・・・僕は、朱莉君には一緒にいられない存在なんだよ・・!だから、だから僕は」
「全然思わない!ずっと、ずっと俺の傍にいてほしい!!・・だから、だから我慢しなくていいんだよ?」
━だから、もう泣いていいんだよ
「っう・・・・・うわああああああああああああん!!!!!!!ああ・・・あああああ・・・・・ひっく・・・朱莉君!!朱莉君!!!怖かったぁ・・・怖かったよ・・・・ゴメンね、ゴメンね!いっぱい傷付けて!いっぱい怖い思いさせて!」
「ううん・・・・大丈夫だよ・・!俺の方こそ、春樹兄の力になってあげられなくてゴメンね・・・!!」
春樹は思いっきり朱莉を抱きしめ
朱莉は春樹を優しく抱きしめる
(春樹兄の体、ガタガタに震えてる。・・・怖かったんだ。本当の自分を相手に出すもんね)
「朱莉・・君」
「ん・・?なぁ・・・・っ!?」
朱莉は春樹にガッチリ抱きしめられキスをされた。
「ん・・・んぅ・・・・・ぷぁっ・・・・も、元に戻ったの・・?」
「あぁ、お陰様で。・・・・・その。俺のこと、好きになってくれてサンキ・・・」
春樹が言い終わる前に朱莉は春樹の唇の前に人差し指を立てて
「ダーメ!全然春樹兄じゃない!ちゃんと言って?春樹兄の言葉で」
「っ!!/////・・・・・・」
「僕のこと、好きになってくれてありがとう!!」
「よく言えまし・・・んむっ!?」
春樹はさっきよりも深く、熱くキスをした。
「ん・・・んっ・・・・は・・・ぁ・・・」
「おかえし♪」
「っ!////」
春樹は朱莉のおデコにキスをすると、真っ赤な顔をしている朱莉の腕を引っ張って立たせた。
「・・・ったく・・・・んな事位でへばんなっての・・・・これから先、もっとヤバイ事すんのに♪」
「っななななななななな!!!!!???」
「ははっ!!・・・・んじゃ、いこーぜ」
「うん・・!そうだね」
これから先何があっても、辛いことがあっても、キミがいればなんてこともない。
「・・・・・そうだな・・・」
『キミと一緒なら!』
―少年が言った、最後の言葉は
『いつまでも、キミと一緒!』
-HAPPYEND-