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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第九回・弐】パッパヤッパー

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「まったりなまったりな」
阿修羅が湯気の立つ湯飲みを持って迦楼羅の隣に腰掛けた
「かるらんも飲むけ?」
縁側に一人座っていた迦楼羅に阿修羅が湯飲みを差し出した
「…うむ」
湯飲みの中は昼間の騒動の引き金となった木村さん宅の甘酒
「追い出されたんやねぇ…;」
阿修羅が迦楼羅の額を見て苦笑いで言った
「…うむ;」
迦楼羅が湯飲みを持って小さく頷いた
「まったく…可愛げのない…強情なヤツだ…」
迦楼羅が甘酒をぐいっと一気に飲み干して
「ぶはっ;」
そして噴出した
「熱いぞ!!;」
迦楼羅が怒鳴る
「そら熱いやよ; 湯気たっとーに;」
阿修羅が言った
「初めに言わんかッ!!;」
服の裾で口を拭いながら迦楼羅が言う
「オライのせいかい;」
阿修羅が甘酒を一口飲んで言った
「あ、かるらんとあっくんにいちゃん~!」
玄関の方からした声に迦楼羅と阿修羅が反応する
「栄野弟…」
「よー!! 竜のボンー!」
ガラガラと玄関の戸を開け閉めする音が終わったかと思うとバタバタと廊下を走る音が近づいてきて和室の障子が開いた
「なにしてるの~?」
悠助が迦楼羅と阿修羅の間から顔を出して聞く
「晩飯前のまったりまったり」
阿修羅が言う
「甘酒だぁ!! いいなーいいなー!」
悠助が湯気の立つ阿修羅の湯飲みを見て言った
「熱いから気ぃつけよ?」
阿修羅が自分の湯飲みを悠助に渡す
「かるらんみたく一気はしたら駄目だぞぃ?」
「やかましいッ;」
フーフーと息を吹きかけて甘酒を冷ます悠助に阿修羅が言うと迦楼羅が突っ込む
「慧喜はどうした?」
迦楼羅がいつもなら悠助にべったりの慧喜が見えないことに気がついて悠助に聞く
「慧喜はハルミママのお手伝い」
悠助が湯飲みを口につけながら答えた
「おっ珍しい~!! 悠が単品じゃん」
開けっ放しだった和室から京助がやってきた
「ハイ暇人全員集合」
阿修羅がハッハと笑って言う
「なんだそれは;」
迦楼羅が言った
「あながち間違いじゃねぇよな; 飯はまだだし…ぶっちゃけ暇」
京助が阿修羅の少し後ろに腰を下ろした
「…何か面白いことねぇですか」
京助が聞く
「面白いことねぇ…面白い…うーん…」
阿修羅が頬杖をついて人差し指をトントン頬に当てながら考え込む
「僕も暇~」
悠助が湯飲みを持ったまま言った
「慧喜いないし…」
ぷぅっと頬を膨らませた悠助を迦楼羅が見る
「…栄野弟は慧喜が好きか」
迦楼羅が悠助に聞く
「うん!! だって慧喜は僕の子供産んでくれるんだもん」
「オイオイオイオイ;」
悠助が言うと京助が裏手で軽く悠助の背中に突っ込んだ
「かるらんは好きな人いるの?」
悠助が聞くと迦楼羅と阿修羅がハタと動きを止めた
「…かるらん?」
しばらく動かなかった迦楼羅に悠助が声をかける
「竜のボンそら…」
「いた…な」
阿修羅が何かを言おうとすると迦楼羅が口を開いた
「いた…の? 今は? もう好きじゃなくなったの?」
悠助が聞く
「いや…そうではない…」
迦楼羅が答えた
「悠; そりゃもしかして聞いちゃいけない質問なんじゃないかとお兄さんは思うのですが;」
京助が言う
「オライもそう思います;」
阿修羅が京助に賛同した
「なんで?」
悠助がきょとんとした顔で聞く
「何でって…あぁ…無垢無知って怖いよ阿修羅さん;」
京助が言う
「かまわん」
迦楼羅が言った
「構わんって…かるらん…」
阿修羅が迦楼羅を見た
「いずれは全て知るのだ…栄野弟…ワシの話を聞きたいか?」
迦楼羅が目を細めて微笑みながら悠助に聞いた
「うんっ!」
悠助が大きく頷く
「…そうか…」
迦楼羅が空を見上げた