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見知らぬ女

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 薄化粧の真里奈と川村はホテルで朝食を済ませ、タクシーで空港に向かった。素晴らしい天候に恵まれた空港には、家族や同僚や友人が見送りに来てくれた。川村はそれを想定していなかったので嬉しかった。真里奈もそうだったらしく、眼を潤ませていた。
 忙しく挨拶をして間もなく、二人はハワイ行きの飛行機に搭乗した。
「……正直に云いますよ」
 窓側の席の真里奈だった。
「……ああ、メイクのこと?」
「三年前に別れた相手から、ひどいことを云われたんです」
「そういうことは、無理して云う必要はないと思いますよ」
「途中でやめるのは良くないので云います。彼はもう、お前の顔なんか見たくないって、云ったんです。そんな顔は見飽きたって……」
「それで、厚化粧になったんですか」
「告白します。整形もしました。彼と街中で会ってもわからないように……」
 真理奈はまた泣いた。
「相当のショックだったんですね。でも、気持ちはわかります。ぼくも同じような経験をしています。ぼくも……整形手術を受けましたからね」
「そ、そうなんですか?!」
作品名:見知らぬ女 作家名:マナーモード