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水城 寧人
水城 寧人
novelistID. 31927
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俺と超能力者の学校生活。

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第一章 入学式



 うっすらとした水色の秋空を背中に、中学3年生となった俺は、学校にむかってかけだした。
 今日は9月14日。
「うはよーっす!斉藤先輩!」
 商店街を駆け抜けていると、部活の後輩が後ろから追ってきた。
「お、町田!瀬川見てないか?」
 柄にも無く俺がガキみたいに走っているのは、別に今日が中学校生活最後の体育祭だから、というわけではない。瀬川をひっぱって行くためだ。
 昨日はあいつも楽しみにしてたんだけどな、と俺は思った。
「いえ、見かけていません」
 町田は困ったような顔になった。町田は、俺が部長を務めていたサッカー部の、現部長である。だから、俺の隣で副部長をしていた瀬川を、よく知っている。
 もちろん、瀬川のチカラについては知らないが。
「またあいつ、寝てんじゃねえだろうな」
 俺も顔をしかめ、瀬川の家に行くことにした。
「町田、さき行って放送機器の準備しとけ」
「はい!」
 町田は走りながら敬礼のポーズをとると、スピードを落とした俺を抜かして駆けていった。
 俺は商店街を曲がり、さらに入り組んだ細道を、曲がる、曲がる。
 すると、見慣れた車が俺の横で併走した。
「おはよ、優斗」
 開けられた後部座席の窓から、瀬川歩が顔を出した。
 俺は運転席を見る。そこには、中学校の担任の先生がいた。
「おはようじゃない!っていうか浦木先生、こいつは甘やかさなくて十分です!」
 浦木先生は歩のふわふわした髪をぐしゃぐしゃにする俺を、笑いながら言った。
「斉藤生徒会長はほんと、どっかのお母さんみたいなこと言うなあ」
 いや、そういう話じゃなく。
 俺は先生の許可を得て、先生の車に乗り込んだ。
「優斗、心配しなくても一人で行けたよ」
 くすくすと笑う歩に、俺はむっとした表情を向けた。
「中学生なんだ、時間通りにしろ!」
 歩は超能力者だ。
 本当に、冗談ヌキの超能力者である。
 TVでやる瞬間移動も、催眠術も、物体移動も、全て完全にこなすことができる。
……といわれても信じられないかもしれない。
「チカラを使うのは、他の人間に見られたらまずいから却下?でも不便すぎる」
 むすっと拗ねる歩に、俺は最大級の拳骨をかます。歩は変な声をあげて沈黙した。
 歩は自分のチカラに対してあまりコンプレックスをもっていない。親に言わない彼の妙な賢さが、問題を起こさなかった原因なのかもしれない。いや、べつにコンプレックスがあったほうがいいとは言わないが。
「おいおい、着いたぞ」
浦木先生が、後部座席で文句を言い合う俺達に言った。
 沈黙状態の歩を引っ張りながら、俺は車を降りた。浦木先生は「また馬鹿やったか」と苦笑しながら歩を見ている。