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妄想その2

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scene2 くるむ



 最近めっきり寒くなった。そのせいか、彼女が私の胸元にもぐりこんでくる時間が増えてきた。

「さむいさむい」

 彼女が身を寄せる。私は黙ってその冷えた体を包み込む。
 互いの熱でじんわりと温まるその感触が好きだ。
 寒さでこわばっていた彼女の体が弛緩していく様が好きだ。

 だから私はなるべく柔らかく、けれどしっかりと彼女を包み込む。
 朝なんてこなければいい。いや、来たって出て行かなければいい。もっと、ずっと、ここにいればいいのだ。

 そうしたら、私がずっと温めていられるから。

「って布団が言うから、ちっとも出られなくって」
「いい加減、目を覚ましなさいよ」


作品名:妄想その2 作家名:新参者