恋愛掌編集
太陽の懐炉
「太陽食べてみたいなあ。」
「藪から棒な話だな。」
「太陽って甘そうだよね。」
「なんで。」
「なんか飴玉っぽくないかな。」
「そうかな。じゃあ、月は。」
「月は黄色いからすっぱそう。」
「なんだよ、それ。太陽だって黄色いだろ。」
「太陽は白だよ。」
「そうか。そうかな。まあ、そうか。」
「そうだよ。」
「でも、太陽って熱くて食べられないだろうな。」
「そうだね。もしかしたら辛いかな。」
「ああ、辛いかもしれないな。」
「でも太陽って欲しいとか思わない?」
「甘いから?」
「暖かそうじゃん。」
「熱いんじゃないか。夏の太陽とか嫌なぐらいだろ。」
「でもさ。冬の太陽なら丁度良いぐらいじゃないかなあ。」
「そういうもんかねえ。」
「そう言うもんじゃないのかなあ。」
「欲しいの?」
「ちょっとね。」
「そうか。……ああ、なんだ。」
「うん?」
「寒いの?」
「寒いねえ。」
「晴れてるのになあ。」
「風がね。」
「そうだな。」
「なに?」
「いやさなあ。こうしたらちょっとは暖かくないかな。」
「なにそれ。」
「なに。」
「くっつきたいだけじゃないの。」
「嫌?」
「ううん。」
「そう。」
「暖かくはないけどね。」
「そうか。」
「そう。」
「残念だな。」
「でも、まあ、嬉しいけど。」
「ああそう。」
「そう。」