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皮肉な出会い

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「出口ですよ」
「はい」
 間もなく急カーブの先の料金所を通過し、一般道路におりる寸前で止めた。前方の道路は空いているので、タクシーが通るかどうかが不安だ。一旦車の外に出た牧野と同年輩らしいその女性は、スタイルも良く、美人の部類だった。連絡先を伝え合いたいと、牧野は思う。しかし……。
「お気をつけて、いい旅行をしてください」
「睡眠不足でした。代わりに運転して頂いて、ありがとうございました」
 牧野は路上に立ち、運転席に入った笑顔の女性を見送った。釣り逃がした魚は大きいということばが浮かんだ。その直後、警察沙汰にならなくて良かったと、彼は胸をなでおろしたのだが、財布を自分の車の中に置いて来たことに気付いて愕然とした。

                   了











作品名:皮肉な出会い 作家名:マナーモード