詩まとめ
あの夏の日へ
思い出すのは貴方の白い指先が
僕の頬を撫でたこと
伝う汗の雫が貴方を穢した
帰ろう、あの夏の日へ
僕達はまだ
始まってすらいないのだから
浅く繰り返す呼吸が
貴方の名前を忘れる
叫びたいほどの激情に揺らぐ
思い出すのは貴方が僕の名前を
優しく読んでくれたこと
一体誰にかえっておいでと呟いたの？
戻ろう、あの夏の日へ
僕達はもう
終わってしまった存在だから
幾重にも流れ続ける涙が
貴方の姿を消し去る
懐かしさすら奪い去られて
膨大な未来を前にして
僕はひとつだけ忘れ物をしてしまった
貴方を忘れて来てしまった
帰ろう、あの夏の日へ
僕はまた
もう一度貴方に会いたい
（だからこの道を戻ってきたんだ。
ねえ、あの時の言葉を覚えている？
内緒にしてた事、全てすべて話すから。
だからもう一度、同じ夏を過ごそう？）
作成日：2010-12-22