詩まとめ
翅還 - uka
やがて手足は伸び
骨は削れ、肉は柔くなり
変貌していく肉体
小指の先の爪のような
小さなしこりが胸に生まれる
腕は誰かに抱き締められるのを待つように
柔らかく力を失っていく
私は私でなくなるのを知っている
私が私を構成する全てを書き換えていく
私に私が出来る事が何一つ無くなっていても
やがてしこりは和らぎ
足を伝う、赤い血が海になる
変貌していく精神
爪の先に星を塗り
周りが望む服を選んでいく
自分の望むものより他人資本に成り代わる
力ではなく脳で戦っていく
私は私の何を知っているのだろう
私が私を理解出来ずに誰が解ってくれる
私に私が与えられる者は何一つありはしない
2012.05.12