詩まとめ
迷い猫に手をかけて
道に迷ったんだと思ったんだ
知らない街、知らない言葉、知らない人達
せかいじゅうを旅してたら、いつか辿り着く未知の場所があると昔聞いた
でもそれはおとぎ話で、そこはただ、知ってる人がいなくなったふるさとだって僕は知っていた
だから僕は、道に迷ったんだ
だって僕には、故郷なんて無いもの
きみとはじめて手をつないだのはいつだったかなあ
空港の、まっすぐのびるエスカレータ
ねぼける君の手をずっとひっぱって歩いた
こわい夢みたって、泣く君をだきしめたかったよ
君と初めて手を繋いだのは何時だっただろう
デパートの屋上、幼い君の両親を探して歩いた
妹がいないって、君は走ってこけてたよ
きみとはじめてくちづけたのはいつだったっけ
そうそれは南の島で、ゆうやけにゆれる水面
結婚しよう。しあわせだった
きみがすきだって、あいしてるって、心で想えた
君に最後に口付けたのはあの時だね
別れ際、小さなきみの頬に親愛のキス
去り行く君の背中には大きな翼が見えた
崩れる鉄筋に、僕は飲まれた
それでも君が、迎えに来てくれるのなら
小さな町のカフェで写真を撮った
あの時より若い君を前に僕はただ俯くだけで
君の名前を知らない
迷い猫はもう死んでいた
投稿日:2010-02-23