詩まとめ
夏の肖像
傾き始める陽射しの中の、形を窄める朝顔のような
日傘を差す君
追い掛ける坂の上の、黄昏色の移ろいは
遠ざかる陽炎
日傘を差して飾ろう
遠い夏に戻れるのなら
長く伸びた髪も切り払って
白いドレスに身を包み
思い出に縋り付くのか
貴方への思いを乗せ、伸ばした髪はあの頃のように
短くなって靡く
眼が醒めるような、赤いサテンのリボンで
首を絞める笑い声
統一化される風景に
戻りたくはないのだけれど
そっと朱に染められた頬に
触れたいと思ったのは何故
輝かしい初恋に
傾く陽射しの中の向日葵に、貴女の姿を重ねたような
見上げるのは私
黄昏色の景色の中の、向けられた背を追う
振り返れば
あの頃の僕だった
似合わないと笑う、その声だけを求めて
翻したかったあの長い髪に憧れて
2012.07.20