last child
ここは白い建物と、土を踏み固めたような地面とでできている。たくさんの人がいるが、お互い意識はしていない。遠くに見える景色は一面の森。食事はほとんどとっておらず、サプリメントとクスリだけだった。クスリは注射器を使い体内に取り込むが、クスリ自体はどんなものなのかはわかっていない。彼らは各自の能力を使い、作業を行っている。それらはすべて用途のわからないものばかりだ。
「異常だな…。よくこんなところで生活していたもんだ。」
ところで人は、彼らのように高く跳べただろうか。4階もの建物から飛び降り、飛び乗りしていただろうか。人は、彼らのように視力がよかっただろうか。3?先のゴミまで視認できただろうか。人は彼らのように力が強かっただろうか。瓦礫を何の道具も使わず拳で砕くことができただろうか。
「違う…。僕たちはそんなことできなかったはずだ…。どうして…?」
そういえば、やつらが走ってくる方向はいつも道の向こうだった。
「結局向こうに行かなきゃいけないみたいだな」
僕は走り出した。
作品名:last child 作家名:紅蓮