after Today.
長い間晴れの日が続いていると、雨の日が恋しくなる。最初はそんな気持ちからだった。
「ねぇねぇ怜ちゃん。次、漢字テストどこ出るかな?」
クラスに存在しているのかも危うい私に、よく話しかけてくれる彼女を、私は今月に入ってから観察している。
「どうだろう。彩香さんでも心配なんだ、漢字テストなんて。二級くらいバッチリだと思ってた」
彼女は困ったように笑うと、漢字ドリルを見ながら続けた。
「そんな、私は全然だよ。いつも学年末になるにつれて憂鬱にならない? 『御璽』とかさ。それでも満点取った方が気分いいからやっちゃうんだけど」
石田彩香。学年一の秀才で容姿端麗運動神経抜群。温厚な性格で、人望もある。その超人が月一回の席替えで隣の席になったのだ。
それを機に、私はあることを考えた。
それは、彼女の「陰」を探すこと。陽のあるところに陰は必ずある。人間にも、多分例外はないだろう。学級でも学年でも空気みたいな存在の私に話しかけてくるなんて何か裏があるにちがいない。 彼女の笑顔は本物か、偽物か。次の席替えまでに暴いてやる。
「ねぇねぇ怜ちゃん。次、漢字テストどこ出るかな?」
クラスに存在しているのかも危うい私に、よく話しかけてくれる彼女を、私は今月に入ってから観察している。
「どうだろう。彩香さんでも心配なんだ、漢字テストなんて。二級くらいバッチリだと思ってた」
彼女は困ったように笑うと、漢字ドリルを見ながら続けた。
「そんな、私は全然だよ。いつも学年末になるにつれて憂鬱にならない? 『御璽』とかさ。それでも満点取った方が気分いいからやっちゃうんだけど」
石田彩香。学年一の秀才で容姿端麗運動神経抜群。温厚な性格で、人望もある。その超人が月一回の席替えで隣の席になったのだ。
それを機に、私はあることを考えた。
それは、彼女の「陰」を探すこと。陽のあるところに陰は必ずある。人間にも、多分例外はないだろう。学級でも学年でも空気みたいな存在の私に話しかけてくるなんて何か裏があるにちがいない。 彼女の笑顔は本物か、偽物か。次の席替えまでに暴いてやる。
作品名:after Today. 作家名:さと