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音楽レビュー

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THE HIVES『THE BLACK AND WHITE ALBUM』


 THE HIVESは非常に諧謔的な曲作りをしている。だが、この諧謔は他人に対する媚では全くない。彼らは他人に対して温かくもあるし冷たくもある。他人が先に存在する以前に自分たちが存在しているのだ。彼らは歌詞において肯定したり否定したり、肯定でも否定でもない生理的な叫びを織りこんだりしているが、それらの根本にあるのは内面にあるあの得体のしれない感情そのものなのだ。だから彼らは認識によって曲を書いているのではない。真偽を確かめるのは彼らの望むところではないのだ。認識よりもその認識の根源にある動因のようなもの、その動因においては肯定も否定も存在しないわけで、彼らはその動因を何よりも吐き出しているのである。
 感情が高まったとき、人間は泣くか笑うかどちらかをする。THE HIVESはもっぱら笑う方である。内面的な得体のしれない感情を笑うことにより解消すること、そこに彼らの感情的で刹那的な生き方が凝縮されている。彼らにとって音楽とは生きていく中で様々なものと衝突するときに引き起こされる笑いを刹那的に解消していく、そして前進を続けていくその歩みそのものなのである。だから彼らは認識に拘らないのだ。永続的なものへの無関心、だからと言って虚無的になるわけでもなく、刹那的なものがどこまでも連鎖していく、それを次々と解消していくのが彼らの生き方なのだ。

作品名:音楽レビュー 作家名:Beamte