流れ星
「流石は私の妹ね。似てると言ってくれるのは麻里だけよ。けれど、顔で選んだ訳じゃないのよ? 呆れるほど優しいの」
「うんうん。優しさが顔から滲み出てるよね」
「麻里にそう言われると何だか恥ずかしいよ。麻里の方はどうなの? キャンパスライフの方は?」
ブランコに前後に揺られる麻里を見つめた。
「私も優しさが顔から滲み出てる彼氏が出来ました」
麻里は幸せそうに微笑んだ。
「そっかぁ、何かあったら包み隠さず私に言うのよ? なんでも相談にのるからね」
「うん。ありがとね」
麻里は私の方に顔を向けると、微笑みながら小さく頭を下げた。
「じゃあ、帰ろうか。私もお母さんに謝らないと。それともオリオン座流星群でも見ていく?」
「お姉ちゃんもオリオン座流星群のこと知ってたんだ」
「うん。思えば昔、二人で流れ星見たよね。願いは叶った?」
「うんうん、懐かしいね。杏里お姉ちゃんの方こそ叶ったの?」
「私の方は叶ったよ。麻里はあの時なんて流れ星に願ったの? もう時効だから教えてくれていいよ」
私はブランコを漕ぐの止めて、麻里の返事を待った。
麻里はあの日と同じ様に星空を見上げながら口を開いた。
「杏里お姉ちゃんが幸せになりますようにって」
……私は麻里の願い事に何故か「あぁ……」と一つ吐息を漏らした。
言葉に出来ないとはきっとこういう事を言うんだ。
「お姉ちゃんの願い事も教えてよ」
「駄目、よくよく考えたらまだ完全には叶ってなかったから」
そう言うと麻里は考え込むような仕草をした後「そっかぁ」と納得してくれた。
「じゃあどうする? 家に帰る? 流れ星に願い事してから帰る?」
私はブランコから腰を上げて「帰ろうか」と言って妹に手を差し出した。
きっと流れ星に願う事は昔と変わらないから。