【第九回】ばかVSバカ
「アイツは【空】の鳥倶婆迦ってぇヤツ…前の【時】ンときにいなかった緊那羅は知らなくて当たり前なんよ…滅多に出てこないんよなアイツ」
阿修羅が言う
「ヒッキーはよくないよ~? 子供はお外で遊ばないとさぁ」
南が言った
「オライを勝手に敵視してんのさねー…; なんだか知らんけど」
阿修羅が困ったねというカンジの顔で言う
「…本当一緒にいるよね」
本間が阿部に言う
「…だから?」
阿部が箒を持つ手に少し力が込められた
「別に?」
本間が阿部の肩を数回叩く
「素直になりなさい素直に」
ミヨコもやって来て同じく阿部の肩を叩く
「うっさいなッ!!!;」
「わかったッ!!!」
阿部か赤い顔をして怒鳴ると同じくして鳥倶婆迦も声を上げた
「お前等! おいちゃんと勝負しろ!!」
鳥倶婆迦が教卓の上に飛び乗って隅っこに固まっている生徒達に向かって無駄に長い袖を振った
「はぁ?;」
ワケがわからない顔をする生徒をヨソに鳥倶婆迦が腰に手を当てて少し後ろにふんぞり返る
「嫌って言ったら…」
そして生徒達の足元でジタバタしている【ウッチャンズ】というらしき人形を見るなり教卓から飛び降りて一体一体大事そうに起こすとまた教卓に飛び乗って生徒達を見た
「嫌って言ったらま…」
「嫌だ」
鳥倶婆迦の言葉が生徒達の見事なハモリで止められた
「だから最後まで言わせろっていってるだろうッ!!」
教卓の上でキーキーと喚きながら鳥倶婆迦が地団太を踏む
「危ないっちゃ!!;」
「ばッ…!!;」
京助と緊那羅がほぼ同時に声を上げ低い姿勢のまま二人の体が動いた
「ぅわ…ッ!;」
古くてガタがきていた教卓の上で地団太を踏んだためかバランスを崩した鳥倶婆迦が教卓から足を踏み外して落ちる
「…っんの馬鹿ッ!!; ンなトコで暴れたら落ちんの目に見えてんじゃねぇかッ!!;」
京助の背中に顔面から落ちた鳥倶婆迦に京助が怒鳴る
「ナイススライディング京助!!」
中島が言った
「さすが体育馬鹿!!」
坂田も言う
「大丈夫? 京助…」
阿部が箒を持ったまま京助に声をかけた
「えと…大丈夫だっちゃ?」
京助に一歩遅れた緊那羅が鳥倶婆迦に言う
「とりあえず降りてくれ;」
京助が背中の鳥倶婆迦に言った
「お前…なんで…」
「ホイホイ早く降りる降りる」
何かを京助に言おうとした鳥倶婆迦を阿修羅が抱き上げた
「なんでおいちゃん…」
阿修羅に抱き上げられたままの鳥倶婆迦が京助に向かって言う
「何でって言われても…条件反射?」
座った京助が答えた
「京助腕すりむいてるじゃない;」
阿部が京助の腕を見て言う
「あ? ああ…まぁこんなんたいしたことねぇし」
京助が手首をぷらぷらさせながら言った
「舐めときゃなお…」
作品名:【第九回】ばかVSバカ 作家名:島原あゆむ