【第九回】ばかVSバカ
「ホラ!! やっぱり5分じゃなかったじゃないっちゃかッ!!;」
「俺の中では5分だったんだよッ!!;」
ドタドタと廊下を走る音がして京助が玄関に現れるとソレに続いて緊那羅が弁当箱を手にやってきた
「あっはっは」
阿修羅が面白そうに後をついてきて笑う
「いってらっしゃい義兄様」
悠助を見送っていつものごとく玄関にいた慧喜が京助に手を振った
「まぁた遅刻なの? 京助」
和室から繋がる縁側で母ハルミが玄関かあわただしく出てきた京助に言う
「まだ遅刻してねぇよッ!; ってきま…お?」
怒鳴った京助が母ハルミにへばりついている鳥倶婆迦を見て止まった
「…お前お面さかさま」
京助が言うと鳥倶婆迦が慌てて母ハルミの後ろに隠れた
「ほぉ~…外したんか…ばか」
「うっ…うるさいなぁっ;」
お面を直した鳥倶婆迦が阿修羅に言った
「ホラホラ!! 本当に遅刻するわよ!?」
立ち止まったままだった京助に母ハルミが大きな声で言う
「うっお!; ってきまーッ!!;」
「京助弁当わすれてるっちゃッ!!;」
駆け出した京助の後ろをサンダル履きの緊那羅が追いかけていった
「…どうしたもんかねぇ…」
生徒玄関前に出来た生徒の人垣
「っはよさ…んって何してんだ?」
息を切らせて玄関に入ってきた京助が人垣に向かって声をかけた
「いや…忘れてたけど…」
坂田が斜め少し下を指差して言うと京助がその指先を見る
「…そういや…言ってたっけな;」
坂田の指の先には安らかに眠っている生徒達
廊下を見てもあちらこちらで生徒や先生が寝こけている
「丸一日って…言ってたもんね;」
阿部が言う
「今日一日どうしませう?;」
男子生徒が言った
「どうしませうっても…なぁ?;」
中島が隣にいた京助を見た
「…なぁ?;」
そして京助が振り返り生徒達にふる
「臨時休校」
本間が言うとおそらく一時間目開始と思われるチャイムが鳴った
作品名:【第九回】ばかVSバカ 作家名:島原あゆむ