【第九回】ばかVSバカ
「勝負になんねぇじゃん;」
生徒の一人が言うと生徒達がざわめきだす
「一回もできないんじゃねぇ」
女子生徒が言う
「ダッメ駄目」
「京助の勝ちか?」
「そらな~…」
ザワザワと生徒達が話し出す
「おいちゃんは…」
鳥倶婆迦が自分の手を見たまま止まった
「よっこいしょッ」
「うゎっ;」
阿修羅がいきなり鳥倶婆迦を抱き上げた
「何するんだッ!!;」
鳥倶婆迦が怒鳴る
「痛て痛て痛てッ; 暴れなさんなッばかッ;」
鳥倶婆迦(うぐばか)が手足をばたつかせて怒鳴りその手足が阿修羅を攻撃するようなカンジになっている
「も一回やってみー? 手伝ってやっから;」
少し鳥倶婆迦から体を離して阿修羅が言う
「もう一回…って」
鳥倶婆迦がちょうど自分の胸のところにある鉄棒を見た
「手伝いなんて…っ; おいちゃんは…」
「蹴る力が弱ぇえんだよ…あと腕の力」
京助が言った
「蹴る力…でもおいちゃんの計算では…」
鳥倶婆迦が京助を見る
「俺は計算なんかできねぇからわからんけど…もう少し強く地面蹴ってみ?」
京助が地面を踏んで言った
「計算では…」
鳥倶婆迦が小さく呟く
「頭で考えるより行動してみていいときもあると思うよん?ばか」
「鳥倶婆迦だッ!!」
南が言うと鳥倶婆迦が怒鳴る
「いーから! ホレ! 支えててやっからまずやってみ?」
阿修羅が言った
「…おいちゃんの…」
鳥倶婆迦が躊躇いがちに鉄棒を掴んだ
「ちっがーぅ; もち方はこう!! 逆!!」
男子生徒が京助の隣で逆上がりの持ち方をやってみせる
「…こ…う?」
ソレを見た鳥倶婆迦が手のもち方を変えた
「そうそう~そんで…引き寄せて蹴って回るッ!!」
一番高い鉄棒で中島が実践して見せた
「お~やるねぇでっかいの」
阿修羅が笑いながら言う
「ホレ! 次はばかの番」
中島を見ていた鳥倶婆迦に阿修羅が言った
「おいちゃん…こんなの…」
鳥倶婆迦が鉄棒から片手を離した
「こんなの計算に出なかった…」
「…なぁにがさね」
ボソッと言った鳥倶婆迦を抱きなおして阿修羅が聞く
「なんで…こんな…構うんだよ…」
聞こえるか聞こえないかの声で鳥倶婆迦が言った
「構いたいからじゃないのけ?」
阿修羅がさらっと言う
「だっておいちゃんの計さ…」
作品名:【第九回】ばかVSバカ 作家名:島原あゆむ