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ふうギャル日記♪~ユキの物語~

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「ユキちゃん!もっと胸張りぃ~小さいけど(笑)」

いつもトップを争っている美香と亜里抄が一番前に座り、ユキを心なしか睨んでいるようにも見えた。
その鋭い視線に晒されたユキが、いかにも泣き出しそうな顔をしていたので、私は助け舟を出しかけた・・・

「わ、私、こんな事ここで話していいのか悪いのか・・・死のうと思ってました・・・」

ユキが突然話しだした。

「知ってる人もいるかもしれませんが、私には病気で寝たきりのおばあちゃんしか家族がいません・・おばあちゃんの病気は心臓の病気で恐らく年齢のこともあって治ることはないと思っています・・・私がこの世界に入ったのも病気のおばあちゃんにお金の心配を掛けたくなかったっていうのが1番の理由です。」

今まで騒ぎながら聞いていた女の子たちが静かにユキの話しに耳を傾けた。

「私、今年の6月まで介護の仕事をしたいました。その時、ちょうどおばあちゃんの3回目の手術が終わって手術代を作るのに必死になって働いてました。普通3交代の介護の仕事をよその介護センターにアルバイトに行ったりしてやってました。でも私の頑張りではとても借金を減らすことはできなくて毎日携帯電話に催促の電話がかかってきて・・・一時期電話恐怖症にもなりました。お金が無くって携帯が止められてからサラ金の電話が職場にもかかってくるようになって、介護の資格をとってから、ずっとお世話になってきた所だから辞めたくなかったけど・・・辞めなあかんようになってもうて・・・自分でもどうしていいのかわからず、ただただ毎日お金のこと考えていました。求人雑誌を近くの駅で貰ってこの仕事を考えるようになって・・・正直凄く悩みました・・・おばあちゃんが入院するまではこんな不細工な私でも好きな人おったし、一度も好きな人に抱かれた経験もないのにって・・・」

ユキの目から涙が零れた・・・

「でも、そんなこと考えてる余裕なかったし、もう考えれることみんなやったし、面接だけでも受けてみようってことで・・・最初は正直、こんな私でも裸になればお金稼げるくらいに軽く考えてたし、今よりはましな生活が出来るって思ってたんやけど、私が面接に行き出してこの店が6軒目でした。どこも雇ってくれなくって・・・5軒目のお店断られたときに、家に帰ったら電気がつかないんです・・・電気料金払ってなかったんで止められてました。もう駄目かなぁって・・・その時はじめて私をすてた本当のお父さんを怨んだし、死のうとおもいました。でも、最後にと思って面接を受けに来たのがここでよかったです。怖いけど、ちゃんと話しを聞いてくれるお父さんに出会えたし、ミアちゃんにはお化粧の仕方教えてもらえたし、蘭ちゃんやミユちゃんにはお買いもの連れてってもらえたし、桃香ちゃんにはイッパイ相談のってもらえてるし、ミサちゃんには洋服もらえたし、楓ちゃんはたくさんマンガ本貸してもらったし・・・ここまでやってこれたのはほんまにみんなのお陰です・・・ありがとう・・ほんまにありがとう・・・」

ユキは目から大粒の涙を流しながら何度も何度も頭をさげた
その後ユキはこのトップの座を12月までの3か月維持していくことになる。
12月の初めに彼氏も出来、念願?の処女喪失もはたした・・・

しかしユキの大切な大好きなあばあちゃんが翌年のお正月明けに急死する・・・

葬儀や家の整理など20日ほど店を休んだユキから真夜中に私の携帯に直接連絡がはいった。

「おとうさん・・・心配かけてゴメンね」
「大丈夫か?」
「うん。なんとか・・・」
「そうか・・・」
「まぁ ゆっくり休んだらええから」
「ありがとう・・・おとうさん・・」
「なんや・・・」
「明日昼頃、お父さん店にいてる?」
「おるで・・・」
「明日行ってもいいかなぁ」
「えっ仕事するんか?」
「ううん・・・聞いてほしいことがあって・・」
「わかった 明日まってるからな・・・」

明日店にやってきてユキが私に何の話をするのか大体は想像することができた・・・

翌日の昼過ぎユキは私が所用で席を少し外していたのでいつもと変わりなく女子待機室で他の女の子と話をしていた。
何となく表情が暗いのも無理はない・・・

「あ おかえりお父さん。」

待機に入ってきた私に気づいた美香が私に声をかけた。
それとほぼ同時位にユキと目があった。

「悪いな待たせて」

「ううん大丈夫!」

私は奥の小部屋にユキを連れていった。
部屋のドアを閉めるなりユキが小さな声で話しだした。

「ここからやったなぁ・・・」
「ううん・・・何がや?」
「初めてお父さんに会って面接してもろたんは」
「ああ・・そうやな。」
「みんなこの部屋からはじまるんや・・・」

ユキは下を向いて小さく頷いた

「お父さん!」
急にユキが少し大きな声で私を呼んだ・・・

「私、卒業する!」
覚悟はしていたが、驚きは隠せずユキの顔に目をやった・・・

「私ね・・・借金も終わったし、何よりお婆ちゃん死んじゃったし・・・」
さっきまで笑っていたユキの目には今にもこぼれ落ちそうなほど涙が溜まっていた。

「やっぱり・・・やっぱり私このお仕事向いてないわ・・・」

初めてユキが口にした弱音だった。

お互いの顔を見つめ合いながら少しの沈黙が続いた・・・

「わかった・・・もう二度とこの世界に戻って来たらアカンぞ・・・お疲れさん・・・」

私はその言葉を言うのがせい一杯で、ユキの体を抱き寄せて頭を撫でていた。

「私が出戻ってきたときもこうやって頭撫でてくれたね・・・お父さん・・」

「ええかユキ・・いつも言うてるけどただの風俗経験のある女の子で終わったら絶対アカンぞ・・・」

「うん・・・」

「幸せにならなアカンぞ・・・」

「うん・・・」

ユキが私の店に在籍していたのは僅か6ヶ月。
その短期間に25歳の風俗未経験のしかも処女の女の子が500万円の借金を完済した。
お世辞にも美女とは言いがたい、おしゃれも化粧もあまり興味のない女の子が・・・
毎日、自分で作ったお弁当と家で沸かした麦茶を持って・・・

1年後・・・
店に届いた一通のハガキにはスッピンのユキが笑顔で写っていた。
そのハガキの写真の下の部分には金色の線でハートマークが抜かれており、同じ金色の文字で

「私たち結婚しました!」

おまけに黒のサインペンで

PS・・・妊娠4ヶ月目です(笑)

忘れられない女の子のお話でした・・・。