日々
「側溝に」
なぜか夜に
側溝に転がり落ちる指輪の話を
たて続けに聞いた
どうやら別れ話と夜は
思ったより相性がいいらしい
こんなもの!
溝に捨てる価値もない!!
憎しみと怒りの瞬発力はすさまじい
力まかせに投げつけられた指輪は
街灯の光をにぶく反射しながら
勢いよくアスファルトの上を転がっていく
思考を一点に集中させて
見た?
この程度のものョ
悲しい音を響かせて
指輪が側溝に落ちていく
追い打ちをかける様に
意地と強がりが絡まり合って
上の空の罵声をあびせる
地の底まで堕ちればいい
思い出も、年月も
背に向かって
矢つぎばやに言葉を突き刺すが
そむけた顔を闇がかばい
その表情を隠す
沈黙に勝てるはずもなく
星の数ほどオトコはいるのよ
サッサと消えて!
今夜もどこかの路上で
修羅場もどきの騒ぎのはてに
側溝に骸が転がり落ちる
チャリンと悲しい音を響かせて
夜は別れ話と
とても相性がいいらしい