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SaddenSociety

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中華料理店が見えたので、既に誰かに作られたバリケードの隙間から中を覗く。
ハッと息がつまる瞬間。

そーーーーーっと覗くと、居た。
映画やゲームでは見たことはあるが、実際に見たことは無かった。
正に典型的なゾンビ。
中華店の店の中をゆっくりと彷徨ってる。

大丈夫。こっち側は見える訳は無い。
音も立ててはいない、ハズ・・・

と思った瞬間、バリケードの、おれの方を、おれの目をまっすぐに、そのゾンビは見た。
完全に目があった。

(何故だ!?ああ、そうか。匂いだ。匂いで気がついた。鼻が良いんだ。)

おれは、2歩下がって、猛ダッシュで走る。走り続ける。

通路を右を曲がると、居た!!!
ゾンビなんかとは比べ物にならない、生物。怪物!

多分、元は人間だ。ただ、3mはある。3mも身長があり、子供?を連れてる。子供も、2mくらいはある。
ここを走り抜ければ・・・そんな思いがあったが、ばったり出くわしてしまった。

おれは、全く動けない。

気持ち悪い形相をしたオーガは、苦しそうにしている。
その顔は、歪んでおり、涎を垂らしている。
何故こうなってるのか?全くわからないが、こいつらが人間を殺しまくる。

手にはトンファか鉄パイプかという、とにかく凶器を持ち、驚くことに、
3歩、4歩で、おれに距離を詰めてきた。

許しを請おうにも、無理。異常。知性を失ってるオーガには、何をも話し得ない。
大きく凶器を振りかぶり、おれの頭に向かって、振り下ろす。

おれは避けることも出来ずに、一撃を食らう。

一瞬、気を失ったのがわかる。

今、自然に膝をついて、下を向いているのだろう。
鼻は殴られてないような気がするが、鼻血をぽたぽたと垂らしており、コンクリートと、血をおれは見る。

ああ、1発目では死ななかったんだ。

おれは後悔していた。
"あんな社会"でも、一緒に居ればよかった。
確かに誰もまともにしゃべってくれなかったし、賢くて酷い人らが頭の悪い人らを道具みたいに使って嫌にはなったけど、だからと言って離脱なんて考えなければよかった。
前線には居らずに、ドームの一番真ん中で居れば、少なくともこうして今死ぬことはなかっただろうに。
何がそうさせた?一人でなんか、生きれる訳が無いのに。この先多分もっと優しい人らが居る所に辿り着けたかもしれないのに。おれは馬鹿だ。
馬鹿だ。馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿。

「くそーーーーっ!」

なんて叫んだハズだったが、声が出ない。代わりに、頭が酷く痛い。
コンクリートには、オーガが、もう一度おれに向かって凶器を振り下ろす、そんな影が映る。
作品名:SaddenSociety 作家名:makoto