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SaddenSociety

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どこか知らないマンションの一室、ベッドの陰で、おれは影を潜めていた。
玄関のドアは開けっ放しにしているので、この位置からなら外を覗ける。
更に言うと、廊下の階段まで見える。視界が最も良い場所だ。

息をじっと潜めて、音をほんの少しでも立てないようにして、息を吸う時は本当にゆっくり、
吐く時は絶対に鼻から少しずつ。口から息を吐くと、それだけで大きな音がするように感じたからだ。
今は心臓の鼓動でさえ、車に積まれたウーハーみたく部屋全体を揺らしてるように感じる。


暫くすると、人間が通りかかった。1人、2人、3人、4人。
誰であろうと、とにかくここに自分がいることを伝えないといけなかった。
絶対に大きな声を出さないように、だけれども認知してもらえるように。疑われないように。

ベットの影から出て、おれは4人に向かって静かに言った。
「なあ、助けてくれ。」


2人は男、2人は女。カップルが成立してる。迷惑してるのがわかる。
だけれども、関係なかった。
女2人は男の方を向いて、視線が集まった男がリーダーであることがわかる。

リーダーである手前人の命を見捨てる、つまり断ることは出来ず、
そうと決めたなら寛容な心でウェルカムしようというのがわかる。

しかし内心は、邪魔な野郎が入ってきやがった!という心が観て取れる。
それでも関係なかった。とにかく助かりたい。一人は嫌だ。孤独は嫌だ。死にたくない。

作品名:SaddenSociety 作家名:makoto