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てっしゅう
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novelistID. 29231
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愛されたい 最終章 家族

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美咲は大学に行かずに専門学校に通い最近話題になっている介護の資格を取った。将来ケアマネージャーとして施設で働きたいと考えていた。高志が就職したら結婚しようと話し合っていたが、施設での仕事が思ったよりきつく、家庭との両立が今直ぐには難しかったので、先延ばしにしてもらった。横井も智子も、疲れて帰ってくる美咲に家事は無理だと考えさせられていた。

コンビニでパートをしていた敏子は実家に帰り高齢になった両親の世話をしながらのんびりと過ごすようになっていた。離婚から3年もかかって慰謝料と財産分与が決まり、年金まで何とか働かなくても暮らせるだけの蓄えが出来ていた。

文子は相変わらずの暮らしで、マイペースで暮らしていた。60代後半に入ってさすがに年齢は感じさせるも、元気に毎日ジョギングは続けていた。夜の暇な時間に智子を誘ってカラオケに出かけることも楽しみになっていた。

伸一は新しい妻とその両親、娘と一緒に暮らしていた。考え方を変えたのか、妻とも娘とも仲良くやれていた。智子とも自分が変わっていれば離婚しなくても良かったと思うこともあったが、今は幸せを感じているのでその事は胸に仕舞って誰にも話さないでおこうと誓った。

智子は伸一の葬儀まで会う事は無かった。有里と高志の孫に囲まれて賑やかな正月を毎年過ごしていた。悩んでいた有里も決心をして結婚を取り、仕事は退職した。やっと慣れて現場からマネージャーの仕事に変わった美咲は高志と結婚した。

「あなたと出逢って、ここまで来れたわ。もうすぐ高志の孫も生まれるね。人生をやり直せて本当に良かった」
「うん、俺もだ。智子と出逢ったことがすべてだ。ありがとう」

新しく人生をやり直せたのは、二人の強い気持ちと子供たちへの深い愛情があったと思えた。智子は初めて横井を見たときからこの日のことを予想していた訳ではない。
横井もまたそれは同じである。二人の環境が変わって子供たちの縁がきっかけで結びつくようになったのである。決して不倫したから幸せになったのではない。
歯車が幾つも重なってうまく回り始めたとき、止めたくないと強く願ったからこそ実現出来たことなのである。

・・・終わり。