愛されたい 最終章 家族
愛されたい 最終章 家族
子供たちには不満がなかったのでここに決めて契約をした。不動産屋の担当者は現金一括で支払うと横井が言ったことに驚いていた。契約書に名前を書き込んで、同居人の名前を書くときに、智子は「間瀬智子」と書いた。子供たちは「横井美咲」と「間瀬有里」「間瀬高志」と記入した。
「智子、どうして楠本って書かないんだ?」
「あなたと一緒になるのよ。楠本って名乗りたくないの」
「そうか・・・ありがとう」
「楠本に連絡して正式に有里と高志は私の姓に入れるから」
「そうだな。横井じゃなくすまないなあ」
「行雄さん・・・それはもう言わないで」
引渡しは登記が済んでからということになり、12月の下旬になると言われた。それまでに家具や生活のためのいろんなものを準備しないといけなかった。忙しくなると智子は思った。有里にも手伝ってもらわないと間に合いそうもなかった。
「有里、あなた学校もう休みでしょう?」
「来週からね。どうしたの?」
「お母さん一人じゃいろんな事出来ないから手伝ってくれないかしら?」
「家のことだよね?」
「そう。何が要るのか書き出して、買うか家から持ってくるか決めないとね」
「美咲ちゃんも手伝ってくれない?有里と一緒に買い物とか出来ると助かるけど、どう?」
「ぜひお手伝いさせて下さい。お姉さんと一緒に買い物したいです」
「あら?もうお姉さんなの?」
「いけませんか?」
「いいけど・・・じゃあ美咲って言うよ」
「はい、そう呼んで下さい」
「俺はなんて呼ぶんだ?お兄ちゃんか?」
「ううん、高志さんです」
「何でだ?」
「だって・・・いつかあなたになるんでしょ?お兄ちゃんって呼べないわ」
「あなた・・・か?照れるな」
「高志、顔が赤くなってるわよ・・・可愛いのね」
「お姉ちゃん!また意地悪言う。美咲覚えておきなよ、この人性根は悪いから」
「高志!お前こそ口が悪いくせに!」
「二人とも、止めなさい。横井さんや美咲ちゃんにみっともないでしょ!」
横井はこんな風に言い合える兄弟がうらやましいと思った。美咲も早くこの仲間に入れるようになって欲しいと願っていた。
夕飯をみんなで済ませて、横井は智子に「二人だけになりたい」そう耳打ちした。美咲を有里や高志に預けて、二人は再び出掛けた。
「今日は忙しかったのに悪いなあ。また呼び出しちゃって」
「行雄さん、いいのよ。私もこうしたかったから」
「智子もしたかったのか?」
「変なこと言わないで!」
「俺ずっと我慢してたから、もう限界なんだ。今から構わないだろう?」
「そんなことは言わないであなたが好きなようにしてくれれば着いてゆくから。もう夫婦なのよ。誰にも遠慮なんて要らないのよ」
「そうだったな。夫婦か・・・初めて智子と出逢って、研修旅行でまた出逢って、あの事件があって、温泉に行って、初めてひとつになって、あっという間だったね。俺たちってこんなにうまくいって少し怖く感じるよ」
「あなたもそう感じているのね。私もそうよ。なんだか怖い。幸せって怖くなるものなの?」
「今までが不幸であればあるほどそう感じてしまうんだろうね。これからは俺が寂しくなんかさせないから幸せが当たり前になるよ。毎日頑張るから」
「嬉しい・・・でも何を毎日頑張るの?」
「一緒に住むようになれば同じ部屋になるだろう。だったら毎日優しくするから・・・今までの分取り返そう」
「取り返す?失ってもないのに?」
「してなかったんだろう?だからさ」
「男性の感覚なのねきっと。今あなたと居ることが幸せだから、それでいいのよ。抱かれるから幸せなんじゃないのよ」
「俺は・・・抱きたい。抱いていたい。智子が可愛くて仕方ないんだ」
「こんなおばあちゃんなのに?」
「どこがだよ・・・綺麗だよ」
「行雄さん・・・あなたこそ素敵。あなたに嫌われないように頑張らないといけないのは私のほうね」
「二人で夜も昼も頑張ろう」
「張り切りすぎて仕事に支障きたすようにならないでよ」
横井は川沿いのホテルに車を入れた。
「横井さんと母さんどこへ行ったんだろう?」高志は有里に向かって聞いた。
「あなたそんなこと解らないの?ねえ美咲」
「恥ずかしいですそんなこと聞かれてお姉さん・・・」
「えっ?あんたもぶりっ子なの?」
「お姉ちゃん、ぶりっ子はないだろう。答えるのが恥ずかしいって言ってるんだから」
「高志!あんた解っているんじゃないの。何で私にわざわざ聞いたの?」
「いや、お姉ちゃんがなんて言うかなあって聞いてみたかったから」
「これからそういうの止めてよ。美咲に悪い影響を与えるから」
「それよりさ、新しい家の間取り見た?一階に一つと、二階に三つ部屋があるだろう。どう使うのかなあ」
高志は自分は一人で居たいと思った。そうすると、有里、美咲と使えば、横井と母さんは同じ部屋になってしまう。そうするのかどうか聞いて見たくなったのだ。
「下に横井さんとお母さんが一緒で、二階は私たちがそれぞれに使えばいいんじゃないの」有里はそう言った。
「私もそう思います」美咲が言った。
「そうだな・・・それしかないな。安心した」
久しぶりに横井は智子を抱いた。もう安心できる二人だったからか、いつになく智子は積極的だった。
シャワーを浴びてベッドに戻ってきて横井は聞きたかったことを始めて智子に尋ねた。
「前から聞きたいと思っていたんだけど遠慮して聞かなかったんだ。智子が離婚した理由は何だったの?」
「話さないといけない?」
「聞いておきたいんだ。キミの事全部知っていたいから」
「男の人って女性の事全部知っておきたいの?」
「そうだね。妻になる人だから知っておきたいって思うよ」
「私はこれからの行雄さんが私のこと好きで居てくれたら、何も知りたいって思わないの。今からのことが二人にとって全てって思うから」
「なるほど、それはそうだね。じゃあ、言わなくていいよ。俺もそう思うようにするから」
「ありがとう。でもそう言ってくれたから話すよ」
智子は出会いから結婚までと不仲になる最大の理由を話した。
「そうだったの・・・過去の男性関係か。気にならないかといえばうそになるけど、騙すとかいう問題じゃないよね。理由があって別れたんだから、その時々で真剣に付き合っていれば許されることだよね」
「そうでしょ・・・私誰でも良かったわけじゃないのよ。まして身体を求めていた訳じゃなかったしね。主人の行為がどんな風であろうとも私のこと愛していてくれたら続けていられたのに・・・」
「男性は小心者が結構多いから、自分が比較されることを嫌うんだよ。特に学歴とか家柄とか、それに男性自身もね」
「男性自身?」
「女性で言えば・・・おっぱいが大きい小さいって言うことかな」
「そうなの・・・私は気にはなるけど悩んだりコンプレックスを強く感じたりはしないわ。主人は感じていたのかしら」
「智子さん・・・もう主人じゃないよ。楠本さんって言ってくれよ」
「ゴメンなさい・・・癖が出ちゃったね」
「男はとても強く感じるんだよ。大きさだけじゃなく、形とか強さとか持続時間とかがね」
「そう・・・あなたは平気なんでしょ?」
「おれ?・・・どうなんだい?智子に聞きたいよ」
子供たちには不満がなかったのでここに決めて契約をした。不動産屋の担当者は現金一括で支払うと横井が言ったことに驚いていた。契約書に名前を書き込んで、同居人の名前を書くときに、智子は「間瀬智子」と書いた。子供たちは「横井美咲」と「間瀬有里」「間瀬高志」と記入した。
「智子、どうして楠本って書かないんだ?」
「あなたと一緒になるのよ。楠本って名乗りたくないの」
「そうか・・・ありがとう」
「楠本に連絡して正式に有里と高志は私の姓に入れるから」
「そうだな。横井じゃなくすまないなあ」
「行雄さん・・・それはもう言わないで」
引渡しは登記が済んでからということになり、12月の下旬になると言われた。それまでに家具や生活のためのいろんなものを準備しないといけなかった。忙しくなると智子は思った。有里にも手伝ってもらわないと間に合いそうもなかった。
「有里、あなた学校もう休みでしょう?」
「来週からね。どうしたの?」
「お母さん一人じゃいろんな事出来ないから手伝ってくれないかしら?」
「家のことだよね?」
「そう。何が要るのか書き出して、買うか家から持ってくるか決めないとね」
「美咲ちゃんも手伝ってくれない?有里と一緒に買い物とか出来ると助かるけど、どう?」
「ぜひお手伝いさせて下さい。お姉さんと一緒に買い物したいです」
「あら?もうお姉さんなの?」
「いけませんか?」
「いいけど・・・じゃあ美咲って言うよ」
「はい、そう呼んで下さい」
「俺はなんて呼ぶんだ?お兄ちゃんか?」
「ううん、高志さんです」
「何でだ?」
「だって・・・いつかあなたになるんでしょ?お兄ちゃんって呼べないわ」
「あなた・・・か?照れるな」
「高志、顔が赤くなってるわよ・・・可愛いのね」
「お姉ちゃん!また意地悪言う。美咲覚えておきなよ、この人性根は悪いから」
「高志!お前こそ口が悪いくせに!」
「二人とも、止めなさい。横井さんや美咲ちゃんにみっともないでしょ!」
横井はこんな風に言い合える兄弟がうらやましいと思った。美咲も早くこの仲間に入れるようになって欲しいと願っていた。
夕飯をみんなで済ませて、横井は智子に「二人だけになりたい」そう耳打ちした。美咲を有里や高志に預けて、二人は再び出掛けた。
「今日は忙しかったのに悪いなあ。また呼び出しちゃって」
「行雄さん、いいのよ。私もこうしたかったから」
「智子もしたかったのか?」
「変なこと言わないで!」
「俺ずっと我慢してたから、もう限界なんだ。今から構わないだろう?」
「そんなことは言わないであなたが好きなようにしてくれれば着いてゆくから。もう夫婦なのよ。誰にも遠慮なんて要らないのよ」
「そうだったな。夫婦か・・・初めて智子と出逢って、研修旅行でまた出逢って、あの事件があって、温泉に行って、初めてひとつになって、あっという間だったね。俺たちってこんなにうまくいって少し怖く感じるよ」
「あなたもそう感じているのね。私もそうよ。なんだか怖い。幸せって怖くなるものなの?」
「今までが不幸であればあるほどそう感じてしまうんだろうね。これからは俺が寂しくなんかさせないから幸せが当たり前になるよ。毎日頑張るから」
「嬉しい・・・でも何を毎日頑張るの?」
「一緒に住むようになれば同じ部屋になるだろう。だったら毎日優しくするから・・・今までの分取り返そう」
「取り返す?失ってもないのに?」
「してなかったんだろう?だからさ」
「男性の感覚なのねきっと。今あなたと居ることが幸せだから、それでいいのよ。抱かれるから幸せなんじゃないのよ」
「俺は・・・抱きたい。抱いていたい。智子が可愛くて仕方ないんだ」
「こんなおばあちゃんなのに?」
「どこがだよ・・・綺麗だよ」
「行雄さん・・・あなたこそ素敵。あなたに嫌われないように頑張らないといけないのは私のほうね」
「二人で夜も昼も頑張ろう」
「張り切りすぎて仕事に支障きたすようにならないでよ」
横井は川沿いのホテルに車を入れた。
「横井さんと母さんどこへ行ったんだろう?」高志は有里に向かって聞いた。
「あなたそんなこと解らないの?ねえ美咲」
「恥ずかしいですそんなこと聞かれてお姉さん・・・」
「えっ?あんたもぶりっ子なの?」
「お姉ちゃん、ぶりっ子はないだろう。答えるのが恥ずかしいって言ってるんだから」
「高志!あんた解っているんじゃないの。何で私にわざわざ聞いたの?」
「いや、お姉ちゃんがなんて言うかなあって聞いてみたかったから」
「これからそういうの止めてよ。美咲に悪い影響を与えるから」
「それよりさ、新しい家の間取り見た?一階に一つと、二階に三つ部屋があるだろう。どう使うのかなあ」
高志は自分は一人で居たいと思った。そうすると、有里、美咲と使えば、横井と母さんは同じ部屋になってしまう。そうするのかどうか聞いて見たくなったのだ。
「下に横井さんとお母さんが一緒で、二階は私たちがそれぞれに使えばいいんじゃないの」有里はそう言った。
「私もそう思います」美咲が言った。
「そうだな・・・それしかないな。安心した」
久しぶりに横井は智子を抱いた。もう安心できる二人だったからか、いつになく智子は積極的だった。
シャワーを浴びてベッドに戻ってきて横井は聞きたかったことを始めて智子に尋ねた。
「前から聞きたいと思っていたんだけど遠慮して聞かなかったんだ。智子が離婚した理由は何だったの?」
「話さないといけない?」
「聞いておきたいんだ。キミの事全部知っていたいから」
「男の人って女性の事全部知っておきたいの?」
「そうだね。妻になる人だから知っておきたいって思うよ」
「私はこれからの行雄さんが私のこと好きで居てくれたら、何も知りたいって思わないの。今からのことが二人にとって全てって思うから」
「なるほど、それはそうだね。じゃあ、言わなくていいよ。俺もそう思うようにするから」
「ありがとう。でもそう言ってくれたから話すよ」
智子は出会いから結婚までと不仲になる最大の理由を話した。
「そうだったの・・・過去の男性関係か。気にならないかといえばうそになるけど、騙すとかいう問題じゃないよね。理由があって別れたんだから、その時々で真剣に付き合っていれば許されることだよね」
「そうでしょ・・・私誰でも良かったわけじゃないのよ。まして身体を求めていた訳じゃなかったしね。主人の行為がどんな風であろうとも私のこと愛していてくれたら続けていられたのに・・・」
「男性は小心者が結構多いから、自分が比較されることを嫌うんだよ。特に学歴とか家柄とか、それに男性自身もね」
「男性自身?」
「女性で言えば・・・おっぱいが大きい小さいって言うことかな」
「そうなの・・・私は気にはなるけど悩んだりコンプレックスを強く感じたりはしないわ。主人は感じていたのかしら」
「智子さん・・・もう主人じゃないよ。楠本さんって言ってくれよ」
「ゴメンなさい・・・癖が出ちゃったね」
「男はとても強く感じるんだよ。大きさだけじゃなく、形とか強さとか持続時間とかがね」
「そう・・・あなたは平気なんでしょ?」
「おれ?・・・どうなんだい?智子に聞きたいよ」
作品名:愛されたい 最終章 家族 作家名:てっしゅう