カナダの自然に魅せられて ~トロントへ~
さて、ここでまた問題発生。トロントのホテルまでどうやって行くかだ。
美月はバスや地下鉄を乗り継いでいくつもりのようだった。その方が時間はかかるが安上がりだからだ。
しかし、私たちは、この重い荷物を持って乗り物を乗り降りするのはもうごめんだと思っていた。移動と年齢を考えて、わざわざ軽いスーツケースを出発前に購入したけれど、10日分の衣類とお土産でスーツケースの中はもうパンパンに膨れ上がり、重いのなんのって…。
「タクシーにしようよ。この荷物抱えて乗り換えするのイヤやん。なぁ、お姉ちゃん」
「それに、この時間、きっと電車の中はラッシュやで。タクシー代も3人で割ればそんな高くないやん」
と美月を説得して、タクシーで行くことにした。
タクシー乗り場にも人はいっぱいだった。家族連れで、大きな荷物もいくつも抱えた人たちも次々に乗っていく。
やっと、私たちの番になった。
「○○ストリート▽番地まで」
「???」
タクシーの運転手さんはどこか判らなかったのか、何度も聞きなおし、美月から地図を見せてもらってやっと理解したようだ。
『そんなに有名じゃないホテルなんや…』ちょっと不安。
昨夜みたいに災難が降りかかったらイヤやなぁ。
美月はまたタクシー代も確認した。
この空港のタクシーはゾーンによる定額制で、ダウンタウンには大体$49で行けるとガイドブックには書いてあったので確かめたのだ。
すると、$52ドルだと言う。
$49じゃないのと聞くと7月から値上がりしたんだと言う。ほんまかいなと思ったけど、ここは引き下がった。
トロントのバスや鉄道の料金は安くて一定らしく、$2.75だそうだ。バスと地下鉄だから2倍で$5.5。3人分で$16.5だから、タクシーの1/3だ。
これじゃ、美月が安く行きたいのもわかるな。…大きな荷物を持っていなければ私たちもそうしたけど、これじゃあね。
やっと着いた!!
カナダに来てから泊まったところは、バンクーバーの最高級ホテル「シェラトンホテル」での2泊。
次の日はVIA鉄道の車中泊。
そして、パトリシア湖の真新しい素敵なバンガローに、いろいろあったバンフのホテルだ。
今日はトロントで泊まる。
トロントは都会だから、高級ホテルは無理として、安いビジネスホテルかなと思っていた。タクシーの運転手が知らないくらいだから。
「ここです。」
と、停まったところは普通の住宅街の民家の前だった。
「どれがホテルなん?」
「えっ!?ここ?」
「普通の民家やん。」
横にもずらっと民家が並んでいる。
作品名:カナダの自然に魅せられて ~トロントへ~ 作家名:ねむり姫