漢字一文字の旅 第一巻(第1編より第18編)
十二の一 【乾】
【乾】、元の字は車に立てた吹き流しがはためく形だとか。
晴れた天候であり、それが「乾いている」という意味になる。
また、この【乾】、中国に伝わる易、八卦において、【乾】は「戌」(いぬ)と「亥」(い)との間の北西の方角。
だから、(いぬい)とも読む。
そして【乾】、師走ともなれば忘年会。
あちらこちらで「乾杯」、杯を乾かす掛け声が聞こえてくる。
だがこの「乾杯」、所変われば言い方が変わってくる。
中国は「干杯」(ガンベイ)、割に近い。
英語は「チアーズ」、フランス語は「アボートゥル サンテ」。
スペイン語では 『サルー』(salud)。
友人の結婚式、スペイン在住の悪友に乾杯の音頭を頼む。
「新郎新婦の幸せを願って、乾杯をさせてもらいます。皆さまの御唱和を高らかにお願いします。
それでは…サルー!(去るー!)」
親族一同からブーイングの嵐が…。
これがイタリア語の友人となるとちがう。
「皆さまの御唱和を、高らかにお願いします。
それでは…チン チン! (Cin Cin!)」
親族一同が椅子からずっこける。
で、最近の日本では、横向きに、
とにかく絵文字的に
( ^_^)/U☆U\(^_^ ) 乾杯!
【乾】が、ここまで進化してしまったのだ.
作品名:漢字一文字の旅 第一巻(第1編より第18編) 作家名:鮎風 遊