漢字一文字の旅 第一巻(第1編より第18編)
七の六 【鰹】
【鰹】、「魚」に「堅」で「かつお」。
万葉の時代から食用にされてきたが、身が柔らかく傷み易い。そのため堅い干物にして食べ、「堅魚」(かたうお)と呼ばれていた。
特に初鰹は、江戸時代珍重された。
傷みが早く、危ない。そのため安全に食べるためには高価となる。
「まな板に 小判一枚 初鰹」と言われるほどだった。
庶民にとって、初鰹は途方もなく高級魚。
それなのに、「目には青葉 山時鳥(ほととぎす) 初松魚(かつお)」と、旬を味わうのはこれしかないと煽(あお)られる。
それでも初鰹を食べない輩に、「女房子供を質に出してでも食え」と、無理強いまでもが。
もうここまでくれば…人権侵害の域。
しかし、救世主が現れる。【鰹】を丸ごと火に炙ったもの、それは…「タタキ」。
これで少々古くても、ポンポンは痛くならない。そして、当然お値段は、お手頃なものとなったのだ。
庶民にとって、タタキ万々歳だ。
ならばと言うことで、少し余談となるが…、
ユッケも、
タタキにして食べたらいかがなものだろうか?
作品名:漢字一文字の旅 第一巻(第1編より第18編) 作家名:鮎風 遊