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漢字一文字の旅  第一巻(第1編より第18編)

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十七の四  【嘆】


【嘆】、音読みで(タン)、訓読みでは(なげく)。意味は、現在の状況、事態を無念に思い、それを口に出して言うこと。
こんな【嘆】、元々の意味は…飢饉の時に雨乞いで、神に仕える人を火で焼き殺し、祝詞(のりと)をあげて神に訴える意味だとか。
まことに恐ろしい話しが根元にある。

しかし、こんなことも知らず、今を生きる現代人、まったく嘆き放題の日々のようだ。そしてそれは、手慣れた祝詞ののようにも聞こえてくるから不思議なものだ。
こんなおぞましく、かつ慣れ親しんでいる【嘆】、実は一千年前のかぐや姫まで【嘆】いていた。

おのが身はこの国の人にもあらず。
月の都の人なり。
それを昔の契りありけるによりてなむ、この世界にはまうで来たりける。
いまは帰るべきになりにければ、この月の十五日に、かのもとの国より、迎へに人々まうで来(こ)むず。
さらずまかりぬべければ、思(おぼ)しなげかむが悲しきことを、この春より思ひ嘆き侍るなり。

これを意訳すれば…。
あたいは月の都の者よ。前世からの宿命でね、この世に来ちゃいました。
そやけど、もう月に帰らなあかんねん。 
八月十五日になったら迎えが来てくれはります。
翁がそれを悲しまれると思うと悲しくってね、この春からずっと…嘆いてたん…どすエ。

こんな【嘆】き、
「消費税、上げるって、なんでやねん」と嘆いてるのと、ちょいと違うかも。

時は一千年前、だけど、その頃の【嘆】、京風で…ちょっとSFチック…どしたがな。