漢字一文字の旅 第一巻(第1編より第18編)
だが、熟慮してみれば、例えが古い。
ならばということで、我が悪友の高見沢一郎が、止せば良いのに、新・ニッポン版「バタフライ効果」を発案した。
『シャンプーで顔を洗えば、大金持ちになる』
これ、どうじゃろかと。
シャンプーで顔を洗う。目に入って、イッテー!
立ち上がるが、よろめきドタンとこける。青あざが出来て、医者に行く。
ベッピン女医さんが現れ、どうしましたと青アザをナゼナゼしてくれる。
心ウキウキで、舞い上がる。
このウキウキ気分のお裾分け分けにと、これを題材にちょっと小説を書いてみる、これは面白いと、雑誌掲載の申し出が。
ならば他の小説もと世に出て、盛り上がる。
そして出版。売れて売れて仕方がない。おまけに賞まで頂いて、「もらっといてやる」と。
その上に、サイン会までやっちまって…もうウハウハ。
印税がわんさかと。確定申告どうしようかと悩むほど。
気が付けば、大金持ちに…なっちょりました。
とにかく【沌】という漢字、思考も『混沌』とさせてしまうのだ。
作品名:漢字一文字の旅 第一巻(第1編より第18編) 作家名:鮎風 遊