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漢字一文字の旅  第一巻(第1編より第18編)

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二の一  【純】


【純】、汚れがないこと。
「純愛」、「純真」、「純情」と熟語を作る。
英語ではピュアー(pure)。日本語のジュンと同様に響きが良い。
【純】は、元々厚織物の端に垂れた混じりけのない単色の糸のことらしい。

しかし、こんな【純】、「糸」と「屯」に分解できる。そして語源を辿(たど)って行くと、この「屯」、なかなか大したものなのだ。
地面を突き破るために、草の芽が頭をもたげる様。地中でぐっと力を溜め込んでいることを言うらしい。
「糸」の横にこんな力強い「屯」が貼り付いて、「糸」が秘めた力を持ったことになる。

したがって【純】、本来はまことにパワフルなのだ。
例えば、「純愛」、「純真」、「純情」。
現代の流れから行くと…それらは美しい。しかし、何か弱々しさを感じ取ってしまう。

だが、【純】は元来充分過ぎるパワーを保持している。
だから、人生の旅路の果てに、たとえ満身創痍(まんしんそうい)でヨレヨレだとしても、「純心」でありさえすれば、清々しく、かつ力強く生きて行ける。

なぜなら、そこにはまだまだ新芽噴く 【純】パワーが残されているからだ。