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MagicMushRoom

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ネットで話題になっていたマジックマッシュルームに興味を持った理由は、こうだった。

依存症が無い。安全。日本では流行り初め。食べたら神になれる。

セブ島なんかではレストランがあって、料理にマジックマッシュルームが混ぜられて出てくるらしい。
違法だが、警察は黙認していて、限られた人が高いお金を払ってトリップするらしい。

日本では、こうして食べるのは違法だが、所持は問題無い(※この小説は2002年以前の設定ですが、日本では2002年6月に完全に非合法化しています!)。
まあこうやって食べている時点で違法なんだろうし、第一自分には違法だとか違法で無いとかは既にどうでも良いことだったけど、なんかギリギリ大丈夫感に興味をそそられる。

ところでトリップというのが、自分にはよくわからなかった。神になれるだとか、すごく気持ちいいことの比喩なんだろうけど、自分には全く想像がつかない。
気持ちいいっていうのは、H以上なんだろうか。

ネットでの体験談には、意味が全くわからないことから、なるほどと思うことまで沢山の記事があった。
自分が興味が無いと思ったのが、ただただ現実逃避が出来て気持ちいいという内容。
自分は、気持ちよさは求めていない。何故なら、気持ちよくなっても、気持ちよくなくなったらまた一緒だからだ。
だから、次のような記事が沢山挙げられているところに興味を持った。

「あれから、生きていくのが楽しいと感じるようになった!」

まさに求めていた内容が、そういう記事だった。
生きていくのが楽しくなったとか、ちょっと前なら宗教、宗教といえばオウムじゃん!とか思った。
いや、オウムはダメだけど、宗教自体に偏見は無い。
宗教で心が救われるなら、それはそれで良いと思う。

確か、半年程前だったかな、これもヤンキーの先輩(さっきのシンナーとは違う人)から電話がいきなりかかってきた。
もう嫌な予感しかしなかったが、断れずに駅に行った。
相変わらず危ない空気出してたけど、やたらにニコニコしていて、車に乗せられる。
「いやあ久しぶりやなあ、元気してたか?とか、勉強どうや?おれもこう見えて、中学ん時理科は得意やってんで!?」なんて言ってきて、ますます怪しかった。
結局連れていかれたところは地元の創価学会の会館で、ちょっと入ろうぜなんて言われて、結局部屋に連れていかれて、顔見知りの、これもヤンキーたちが沢山いて、ああ、流行ってんのね。なんて思いながら池田先生のビデオが流された瞬間に、先客のおばさんたちが平伏してた。
ああ、テレビなんかでよくある光景だけど、本当にあるんだななんて思った。

帰りの車で、先輩が言った言葉を思い出す。

「おれさ、知ってると思うけど、ものすごい悪さばっかりしてたやんか。で、前今の現場の先輩にめちゃめちゃ怒られてさ、おれのこと見捨てんと、キレて色々言ってくれて、もっかい学び直してみーひんかって言われて、ここおるねん。そっから大分丸なれた。強要はせんけど、たまにここでしゃべろうや。」

結局あれから一度も足を運んではいないし、先輩からも電話は無い。
どうやらひつこく勧誘するつもりはなかったらしいと安心した。

宗教に入るのは嫌だ。所属すること自体が嫌だから。
こんな状態になってさえ、一人で解決したいと思ってる自分が居る。
ただ、あんな悪かった先輩が変わったなんて、すごいなとは思う。
だから、宗教を真っ向から否定するようなことは出来ない。



ネットでの体験談を見てると、キノコ一つで人生が変化するみたいに書いてあるが、
もし、仮にそんなことが起こるとしたら、一体何が起こるのだろうか。
いや、有り得ない。たかがキノコ一つで、そんな変化が起こるなんてことは絶対に無い。
わかっていながらも期待している自分がいた。

さっき一気にキノコを流し込んだこともあり、カレーが半分以上無くなったので、ここでゆで卵に手をつける。
マヨネーズを忘れたが、台所まで取りに1階に下りるのが面倒臭いので、水と一緒に流し込んだ。

作品名:MagicMushRoom 作家名:makoto