Super Girl
「振り込んでおかないと、帰って来た時に困るだろう?」
「なんで昨日のうちにやっておかないのよ!!」
「まぁ、そう言うな」
「もし飛行機に間に合わなかったら、お父さんとは一生口きかないからね!」
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【Super Girl】
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『紅の夕陽』
それは内蒙古で見ることができる、燃えるように紅い夕陽。
それは見渡す限りの地平線に沈みゆく夕陽。
何年たっても飽きることのないそれは、私達家族にとって特別な思い出がある。私はこの夕陽を見ながら妻にプロポーズしたのだ。
私の幸せの象徴でもある。
娘が小学六年生のときに初めて連れて来た。
『紅の夕陽』を目の当たりにした娘は、口をぽかんと開けたまま見とれていた。
それから毎年春休みの期間に、家族三人で内蒙古を旅行するようにしている。
そうして、娘が大学に合格した今年も行くことになった。
私は内蒙古の遊牧民に友人がいるのだが、娘同士も親しい友人関係を築いたようだ。
二人は年に数回のペースで手紙のやりとりをしている。妻が日本語を北京語に訳して送っていた。
娘達は北京語と英語と日本語を織り交ぜた言葉で会話していたが、ここ二年は英語のみでの会話になっているようだった。
娘の英語力は通訳無しで会話を完全に成立させるに至っていて、英検の一級だか準一級だかを受験すると言っていた。
娘に英語を教えてくれた彩さんには感謝せねばならない。
作品名:Super Girl 作家名:村崎右近