夏のうしろすがた
爽やかな風のなかで
山の上のベンチに横たわり
葉摺れの囁きに包まれて
碧い空を流れて行く雲たちを眺めていると
いままでの辛かったこと
哀しかったこと
悔しかったこと
恥ずかしかったこと
そういう忌まわしいことが
通過したした低気圧のように
すべて遥か彼方に去って
穏やかなこころになれた
ここにこうしていつまでも
いつまでもじっとしていたいものだと
こころから思った
地位も名誉も財産もいらない
なにもいらない
音楽もいらない
文学もいらない
絵画もいらない
映画もいらない
なにもいらない
あなたが傍にいて
爽やかな風のように
微笑んでいてくれたなら