純愛 物語詩集 第一巻
晩節の純愛
晩秋の湖
少し肌寒く そして淡く煙ってる
これからの私達 どういう物語になるの?
君は聞いて来た
そう言えば 思い出す
随分と歳月を経てしまったが
これからの二人の物語
きっと ハッピーエンドにしましょうね
そんなことを君は言って 嫁いで来てくれた
君は 今
向こう岸が霞む湖面に
ぼんやりと目をやりながら
今までの私達
随分と
活劇みたいだったわ
そんなことを口にしている
僕は
ここまで頑張って来てくれた 君のそばに
そっと寄り添い
そうだねと
ぽつりと呟き返した
ねえ あなた
これからの私達の物語
どんなのにしたいの?
君は答を求めて来る
僕は
さざ波の小さな響きに合わせ
ぼそぼそと
そうだなあ 晩節の純愛物語
それ どうだろうか?
すると君は
それをまるで無視するかのように
私 純愛より
ファンタジー物語の方が 面白そう
そんなことを囁いて来る
僕は 少し年老いた君の肩に
そっと手を回し
うん そうしようかと返した
作品名:純愛 物語詩集 第一巻 作家名:鮎風 遊