夢幻双子
初めから、自分たちは何かを感じ取っていたのかもしれない。
刻々と色彩を変えていくこの空間。数分後にはここがどこなのかすら全く分からなくなってしまう。
恐怖と不安と心細さと、そして希望を抱いて、自分たちはこの広大な虹色の中を、たった二人でさまよっていた。
『オイデ…コッチヘオイデ…』
どこからともなく聞こえてくる声に導かれて。
そんな時、ふと二人の前に小さな光が現れた。光は徐々に近付いていき、はっきりと二人を照らしだす程に近くなる。
ふわふわと、虹色が揺らめく空間の中に自分たちと同じく寄り添って浮かんでいる二つの温かな光の塊。
ああ、自分たちはこの光に無意識のうちに心奪われ、引き寄せられてやってきたのだ。
ただただ光に魅せられ立ち尽くすばかり。ほかの何も、その光以外の何も、それこそその時ばかりはお互いの存在さえも、見えてはいなかった。
ただ必ず二人でなければならないのだと、教えられもしないのに必死でかたく手をつないで。 二人同時に、空いた手を光へと差し延べる。恐る恐る、怖々と。
まずは指先が光に触れて、そこから手のひら、腕、からだと、ゆっくり彼らを包み込むように光は広がっていく。それは思った以上に温かく、まるで母なる海の中で波に揺られているかのようで、心地好い夢の中でまどろんでいるかのようで、何よりもそれが幸せだった。
うっとりと、心地好い波に揺られながら。それでもしっかりと自分の半身とつながっていることを実感しながら、どんどん深いところへ招かれていく。二人で共に中心へと引き寄せられる。
新たな光が彼らの目の前に広がった。それはすべてを新しく生まれ変わらせるための光だった。