Over the rainbow
新入研究員
紫、赤、青、緑、オレンジ、黄色、ピンク、ライトブルー。この星には鮮やかな風が流れていた。風ではなかった。走る歩道である。
一番右側の白いのが、時速ゼロキロメートルの固定歩道である。その左隣の淡いライトブルーのレーンは、時速二キロでゆっくりと前方に動いている。その更に内側のいくらか濃いライトブルーのレーンは、時速四キロとなっている。左側に移動すると速度が増す。速度の違うレーンが上下線で各三十あり、最も左側、最内の紺色に近い、濃い紫の高速レーンは、時速六十キロだった。隣のレーンとの速度差は全て時速二キロ相当となっていた。
先日、警察に逮捕された若者がいた。左端、濃紫色のハイスピードレーンを、自転車で走行したのである。「自転車で時速百キロ以上を体験したかった」それが犯行の動機だったという。
右端、最外の固定レーンの幅は二メートル。その内側左隣の微速度レーンの幅は一メートル。やや速いその内側が、一メートルよりは少し広い。
作品名:Over the rainbow 作家名:マナーモード