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司令官は名古屋嬢 第4話 『やっかいな存在』

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 守山たちは目的の建物の中に入った。よくあるガラス製の自動ドアではなく、分厚い金属製の自動扉だった。中に入ると、同じような扉がもう一つ向かい側にあった。

   シャーーー

 突然、天井からシャワーが降り注ぐ。いきなりだったため、守山はビクッとなった。このシャワーは、防護服を除染するのが目的なのだろう。変わった匂いがするので、これはただの水ではなく、薬品が入っているようだ。
 やがて、シャワーは止まった。
「防護服はこのロッカーに入れておいてください」
兵士はそう言うと、防護服を脱ぎ出す。どうやら、ここからは安全らしい。
 守山はデジタル文字で表示された自分の防護服ロッカーを見つけると、防護服を脱ぎ、それを中にしまった。防護服の冷却機能により、汗はかいていなかった。防護服を脱ぐと、洗剤のような薬品のニオイがした。
「では、どうぞこちらへ」
兵士がそう言って扉に近づくと、扉が静かに開いた。

 建物の中は安全なようで、誰も防護服を着ておらず、普通の服装をしていた。シャツやスーツ姿の職員が、まるで都会のオフィスにいるような感じで仕事をしていた……。違う点は、外を見ることができる窓が1つも無いことぐらいだった。窓が無いのは、放射能や敵の攻撃などから守るためだろう。
 ここにも、中京都軍の兵士が警備で立っており、守山はこの建物内の警備につきたいと思った。外のブルーカラーと放射能の中でいっしょにいるより、ここのホワイトカラーといっしょに安全に過ごすほうがいいと彼女は考えた……。まあ、ほとんどの兵士は、彼女と同じ考えだろう……。

 守山は兵士に案内されて、指揮官室へ向かう。このプロジェクトを任されているのは、中京都軍など下請けの組織ではなく、CROSSの人間だった。それだけ、このプロジェクトは重要なのだろう。まあ、CROSSの隊員といっても、自分と同じく、こんなところに送りこまれるような人間だからと、彼女は気構えないことにした……。
 エレベーターで最上階に行き、しばらく通路を歩いた後、兵士はある部屋の前で立ち止まった。ここが指揮官室のようだ。
「こちらです」
兵士はそう言うと、指揮官室と書かれたドアをノックした。
「どうぞ」
中から男の声がした。兵士がドアを開けて部屋の中に入り、守山を招き入れる。