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司令官は名古屋嬢 第4話 『やっかいな存在』

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『私は、中京都総司令部の大須です!!! 退却を許可します!!!』

 そのとき、無線から大須の声がした……。いろんな意味で、久しぶりに大須の声を聞いた守山は、自分の耳を疑った……。
『繰り返します! 退却を許可します!』
彼女は、大須の声であることを確信した。夜空を、無人偵察機らしき小さい機体が飛んでいるのも確認できた。
「了解、大須ねえ!!!」
 彼女はそう叫ぶと、急いで車を方向転換させて、『CROSS第一核兵器工場』に向けて走り出した。他の車も躊躇うことなく、その方向へと向かいだした。
『おい!!! 退却するな!!! 大須の命令なんか聞くな!!!』
それからすぐに、武村の怒声が響いてきた……。すると、何台かの車が急停止した。
『権限は私にあるはずですが?』
大須が武村に問いかけるように言う。
『……そりゃ、そうだが。しかし、私はCROSSの人間だぞ!!! 君にCROSSへの忠誠心は無いのか!?』
自分に権限が無いということを突っ込まれた武村は、噛みそうな口調で偉そうにそう言った。
『……私が忠誠を誓うのは、CROSSの山口さんだけです。あなたに忠誠など誓えません』
大須が落ち着いた口調でそう言った……。
『……なっ……』
武村はそれから、どう返事をすれば、これ以上恥をかかずに済むかと考え、
『と……とにかく、このことは山口さんに報告しておくからな!!!』
そう捨てぜりふを言い残すと、逃げるように無線通信を切った……。

 大須が武村を言い負かしたことを、守山たちは心の中で喜んだ……。



 核兵器工場へと退却していく守山たちを見ていた日本戦線の連中は、なぜか困惑しているようだった。どうやら、彼らは、この戦闘を長ひがせたいらしい……。そこで彼らは、進行速度を止め、守山たちを誘いこもうとした。
 この誘いこみに引っかかった何台かが、退却を止め、日本戦線の敵兵たちに反撃した。日本戦線の敵兵たちは、すぐに車を撃破しようとはせずに、時間を稼いでから、反撃してきた車にロケット弾を喰らわせた……。
 やがて、その手に引っかかる車がいなくなると、日本戦線の敵兵たちは、その場で立ち止まっていた。



 守山たちの車列は、核兵器工場の基地に着いた。生き残ったランドクルーザーは、出撃時の半分ぐらいだった。

「ん!?」

 基地のガレージへ向かっているときに、敷地内で守山の目にチラリと変わったもの映った。
「運転とかを任せるわ!」
守山は、機関銃担当の兵士にそう言うと、自動小銃を持って車から飛び降り、目にした所に向かって、走っていった。