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カナダの自然に魅せられて ~憧れのカナディアン・ロッキー(2

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16、氷河湖を巡る



さて、アイス・フィールードパークウエイも後半に入る。
ここからレイク・ルイーズまで約190キロ、氷河湖が連続する。楽しみだ。
しばらく走って、サンワプタ峠というところにやってきた。
ここは、今までまわってきたジャスパー国立公園と、これから行くバンフ国立公園の境界線にあたるらしい。
そして、有名なのは、あのマリリン・モンローの若かりし頃の映画「帰らざる河」の冒頭シーンのロケ地だと説明してくれた。
私はマリリン・モンローと言う女優の名前は知っているけれど、彼女の映画を見たことはなく、「帰らざるら河」がどんな映画なのかも全く知らなかった。
小説に出てきた土地に行くのは好きな方だから、その映画をもし知っていれば、きっと感動しただろうなと思うのだけれど…。

……せっかく案内してくれたのに、ごめんなさい、山本さん。

でも、ロケ地に選ばれただけあって、すばらしく見通しがよく両側の山が氷河によって削りとられたU字谷。
その谷底を走るパークウェイ。
ずっと先まで流れる川。
すてきな景色が峠から良く見通せた。

V字谷の多い日本と違って、なだらかな曲線を見せる山肌、それだけでも広々とした地形を思わせる。壮観なU字谷だ!

そしてもう一つ。このサンワプタ峠から少し下ったところにある「すすり泣きの壁」が有名である。
絶壁のたか〜い壁の上からも、途中からも、ツツツツーーーと細いしずくが流れ落ちている滝。
細い細い流れが何本もある。それを見て、涙を流しているように見えるから、「すすり泣きの壁」と言うらしい。

その壁の絶壁はみごとな垂直で、二段に分かれている。
頂上も同じ高さで水平に続き、まばらに生えた樹木が、坊主頭に少し毛が生えているようなそんな風にも見える。

そして、一段下のわずかに平らなところにもまばらに樹木が生えている。その生え方がまた面白い。
その絶壁を利用して、ロッククライミングの練習場にもなっているそうだ。
登山家にとっては格好の練習場になるだろうな。


パークウェイ沿いに続く氷河湖のまず一番目は、ウォーターフォウル・レイクだ。
すすり泣きの壁から70キロほど快適なドライブウエイをひた走る。
程なく右側に川のように長く続く水面が見えてきた。
水量はたっぷりだ。

「だいぶ走りましたから、少し休みましょうか」
と、車から降りて休憩した。
車道から少し降りるともう湖水に手が届く。澄み切ったきれいな水だ。少し向こうに一羽の小さな水鳥がの〜んびり浮かんでいた。のどかだ。
岸辺には、さっきも見たインディアンペイントブラシや、リナリアに似たピンクの背の高い花…ファイアーウィード「やなぎらん」というらしい。
山火事の後、真っ先にこのピンクの花が咲くらしい。

黄色い小さい花。そして赤く熟れた野いちごなども生えていた。
この近くでは、角が大きく平べったいムースがよく見られるらしい。塩を舐めに山から下りてくるのだそうだ。
冬場にまいた凍結防止剤の塩化カルシウムが道路の隙間に残っているらしくその塩を舐めに山から下りてくるらしい。
生き物は塩がないと生きられないんだなぁ。どこにそれらがあるか動物は良く知っているということなんだ。
すごいなぁ、などと感心しながら、しばらく周囲の景色に見とれていた。

すると、観光バスが1台近づいてきて停まった。
「あ、娘さんのバスかも知れませんよ」
山本さんの予想通り、美月がバスから降りてきた。

観光バスだからたくさん乗っていて、静かだった湖畔もにぎやかになってきたので、私たちはまた先に出発することにした。
「次でもまたきっと出会いますよ」
と山本さん。何回もこのルートを案内していると各ツアーの停まる場所がわかるのだろう。


再び車に乗り込み20キロ走る。
神秘的なペイトーレイクに向かって。