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旅立ちの春

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旅立ちの春



 東京の目黒区内の或る公園に、直径60メートルくらいの釣り池があります。養殖の鮒を釣り上げるために、多いときは40人くらいの釣り人たちが訪れます。今の時期は渡り鳥がそこで冬を越しています。
 脇腹とお腹が白く、くちばしがライトブルーで、後頭部に飾りのような羽がある黒い鳥がキンクロハジロの雄です。眼のまわりには黄色のリングがあります。黒い頭部は西日を受けると紫色に色が変わります。少し小ぶりな雌は全体が褐色です。そしてマガモ(コガモかも知れません)もそこで越冬しています。それぞれ六羽づづ、合計十二羽程です。
 私は仕事の合間にその水鳥たちに餌をやっています。ポップコーンや揚げたポテト、食パンなどをたべさせています。
 鳥たちは日中に私を見ると波をたてながら池の上を移動してきます。遠いところにいた鳥は慌てて飛んできます。
 彼らは午後七時を過ぎると眠ります。餌には見向きもしません。マガモは池の上に浮かんでいる枠に上がり、キンクロハジロは水に浮かんだまま眠っています。
作品名:旅立ちの春 作家名:マナーモード