小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

【第八回・伍】天体観測っぽく

INDEX|19ページ/19ページ|

前のページ
 

「ヨシコ」
白く長いカーテンを手で上げた阿修羅がその先にいたヨシコに声をかけた
「…あっくん…?」
膝を抱えていたヨシコが顔を上げる
「ほいよ」
ヨシコの横に腰掛けながら阿修羅が手を差し出した
「何?」
ヨシコがその手を見る
「お土産」
阿修羅がニーッと笑った
「お土産…?」
ヨシコが首を傾げつつも手を伸ばすとチャリっという音とともにヨシコの手に何かが手渡された
「これ…」
「でっかいのから」
阿修羅が足の裏を合わせながら手を引っ込めた
「でっかいの…ってゆーちゃんから?」
ヨシコが手を開くとあったのは【ようこそ正月町へ!!】と書かれた観光土産としかとれないキーホルダー

「なぁでっかいの~」
阿修羅が先を歩く中島に声を開けた
「何だよ」
中島が足を止めて振り返る
「ヨシコのこと嫌わんといてな」
「はっ!?;」
阿修羅が言うと中島が声を上げた
「何をいきなり…;」
中島が言う
「いや…ヨシコはその…なんだ…」
阿修羅がどもりながら何かを言おうとしている
「別に嫌ってねぇよ俺は」
中島が言う
「…そっかそか」
中島の言葉に阿修羅が微笑んだ
「…いつくる?」
中島が阿修羅に聞く
「何が?」
「アイツ」
阿修羅)が答えると中島がまた言う
「ヨシコ?」
阿修羅が聞き返すと中島が頷いた
「…さぁなぁ…どうだか…」
阿修羅が苦笑いを返す
「…俺宿題とかで夏休みなのに自由がないとか思ってたんだけどさ…アイツに比べたら俺等ってスゲェ自由なんだなって…さ」
中島が笑いながら言った
「…でっかいの…」
「コレ」
阿修羅が言うのとほぼ同時に中島が何かを差し出した
「渡してくんね? くだらないモンだけど」
中島が眉を下げて笑いながら阿修羅に何かを手渡した

「何で?」
ヨシコがキーホルダーから阿修羅に視線を移した
「さぁ?」
阿修羅が笑う
「これアワビって貝から作ってんだとさ…かざしてみ?」
阿修羅がヨシコの手を持って上にキーホルダーをかざした
「…綺麗…」
小さく開いている穴から室内の明かりがヨシコの顔に小さな夜空を作った
「ねぇあっくん…私…」
ヨシコが手を下ろして俯いた
「私…」
ヨシコがキーホルダーを握り締める
「お前は悪くないんよヨシコ…」
阿修羅がヨシコの頭を撫でた
「…お前は悪くない…」
阿修羅の視線の先には棚の上に置かれた紙コップ
「オライが近いうち連れてってやるさ」
笑いながら言った阿修羅が一瞬顔を曇らせた
「…いつか自由にしてやるさ…」
そして小さく呟く
「竜がしたかったこと…オライもしてぇしな」
阿修羅の胸の飾りがチャリっと鳴った