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キツネ目をつかまえろ

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 テレビに出ているオカマタレントの一人を想い出した。笑顔が可愛い。云うことが面白くて嫌味がない。その名前が番組表にあると、早川は必ずそのチャンネルを選択した。
 彼が勤めて六年目のタクシー会社では、給料がいまどき珍しく、現金支給となっている。それ故に固定電話の料金は、自動引き落としの手続きをして以来、支払いを忘れることが増えていた。そのせいで電話番号は消滅し、光テレビのケーブルも予告なく切られてしまった。こういうことだけは、遅延なく迅速に行われるから憎らしい。贔屓のオカマタレントの顔も、このところ見ていない。
 競馬中継の画像も観ることができなくなった。彼は馬券のネット購入もしなくなった。公休日が暇になったので、旧いテレビゲーム機を押し入れから出して来た。
 去年の秋には弓浜麗奈という、極く短い時間恋人だった女優が、或る医師と結婚した。そのために早川は精神的に落ち込んだ。
 だが、彼は最新のマイフレンドのおかげで立ち直れた気がする。
 それが「ユッキーさん」という女性である。今日はカラオケボックスへ、そのひとと二人で行くことになっている。そのひとのハンドルネームから推測すると、本名が「ゆき……」という女性であると、早川は思った。昨日、仕事でタクシーを運転しながら、ゆきこ、ゆきえ、ゆきみ、ゆきじ、ゆきの、ゆきな、などと頭の中に並べた。