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キツネ目をつかまえろ

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 レンズの中を見守る早川は次の瞬間、いきなり殴られたような衝撃を受けた。車からおりて来た乗務員は幸洋の姉の智織だった。そして、更に驚かされた。次いで車の中から現れたのは、金髪をハリネズミのように固めたキツネ目の痩せた若い男だった。
「結城さん!当たり屋です!」
「えっ!?当たり屋?……もしもし。当たり屋を発見しました。大至急お願いします。はい。そうです。二の十五です。結城幸洋です。早くしないと、逃げてしまいますよ!」
「結城さん。乗務員は智織さんです!」
「えっ!姉さんだって!?急いで行きましょう!」
 結城は登山で使うザイルを持って出た。二人はエレベーターに向かって走る。背後でいくつかの扉が開かれる気配が感じられた。
 長い通路を走りながら結城は、
「コクトーさん、よく姉がわかりましたね、それに当たり屋にも気付いてくれて、感謝します」
「素晴らしく高性能の双眼鏡のおかげです」
 エレベーターは一階に降りていた。
 結城がボタンを押すと、パネル上をゆっくりと光が上がって来た。マンションの住人たちが、数人で話しているのが聞こえる。早川は苛立っていた。結城は何か考え事をしている。
「そうか、二月十五日が誕生日ですね?」
「そうです。智織さんのね」