小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
マナーモード
マナーモード
novelistID. 29058
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

キツネ目をつかまえろ

INDEX|31ページ/41ページ|

次のページ前のページ
 

「徹夜明けの日に飲むと、前後不覚に陥るんです。ひどいときは植木等状態です」
「駅のホームのベンチでごろ寝、ですか」
「意外に知ってましたね、そんなふるい歌を」
早川がそう云うと、結城はなぜか慌てた表情を見せ、
「あっ、そうだ。話を戻しましょう。去年僕が消えた先はフランスのパリなんです」
「観光旅行ですか。きれいなところなんでしょうね」
「早川さんはまだですか?」
「子供の頃両親に連れられて行ったらしいんですが、まるで憶えてないんです。一体どうなってるのか、自分の頭の中を見てみたいですよ」
「それは、何か大きなショックがあったからではありませんか?まあ、それはともかく、僕の話を聞いてください」
「パリの話ですね。去年のいつ頃出発したんですか?」
「二月半ば過ぎでした。バイクのレースで知り合ったフランス人のところへ、油絵の道具やキャンバスを送ってから出かけました」
「油絵ですか。じゃあ、今はレースをやめて画家になったんですね?」
「まあ、そういうことになるのでしょうね。中学生の頃から風景画を描いていました。十七のとき、友達に誘われてバイクに乗るようになったのですが、その友達がレース中に亡くなったのが、三年前のことです。そのときから完全に絵のほうに戻ったわけです」
「レース中の事故だったんですね。同じレースに出ていた……」
結城は早川を遮るように云った。